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思い出の美幌峠 ― もう二度と見られないエメラルドグリーンの屈斜路湖 [北海道]

私はDr.佐藤と同じ道東の北見市出身です。現在は、市町村の合併で札幌方面から国道39号線を通り石北峠を越えた辺りからオホーツク海まで道沿いはず~っと北見市になってしまいました。東西の距離は110Kmだそうで、関東で考えてみると栃木市から東北自動車道を通って東京の竹芝桟橋に行って海に出るくらいの距離です。(笑)
北見は道東の観光地に近いため、サロマ湖、オホーツク海、阿寒湖、摩周湖、知床など日帰りで楽しむことができます。それぞれ素晴らしい景色を堪能できますが、その中でも私は美幌峠が大好きです。
観光バスなども多く来るので人が多くて敬遠する人も多いですが、それを考慮してもここから眺める大パノラマに匹敵する場所はそうないと思います。

●美幌峠の魅力
美幌峠はいつも多くの観光客で賑わっていますが、ほとんどの人がレストハウスから少し上った場所で写真と撮って帰っていきます。確かに、そこからでも素晴らしい眺めなんですが、本当にパノラマを実感するには、一番高い崖の所まで登る必要があります。ここからの眺めは本当に素晴らしいです。bihoro0.JPG

今は四季を通じて観光客で賑わっていますが、私が通っていた30年以上前は冬になると観光客ほとんどいませんでした。
何か嫌な事があった時、私は冬でも美幌峠に来ていました。レストハウスの横を通り、除雪のされていない道と思われる道を登って行きました。美幌峠は風が強いため、幸いなことに雪はそれほど積もっていませんでしたが、当時は崖の所に柵も何も無かったので、今考えると非常に危険ですね。(^^)
坂を上りきった崖の所に座り、屈斜路湖を眺めていると、大自然に比べて自分の悩みがとても小さなものに思え、悩んでいる事がバカバカしく感じて気分がすっきりしたものです。時には、「バカヤロー!」なんて大声で叫んで青春していましたが、ストレス発散にはとても良かったです。


●私が美幌峠が好きな理由
さて、私がそんなに美幌峠が好きになった事には、あるきっかけがあります。
今から30年前、確か8月のお盆の時期だと思いますが、家族と一緒に美幌峠に行ったのですが、その時に美幌峠から見た屈斜路湖は一生忘れられないものでした。駐車場で車を降り、レストハウスの所に行った時、屈斜路湖の湖面が一瞬見えたのですが、その色は鮮やかなエメラルドグリーンだったのです。

美幌峠から見える屈斜路湖は、通常は濃いブルーですが、当時あまり美幌峠に行ったことがなかった私は、父に「すごい色だね!」と言った覚えがありますが、それが特別な色であるとは思いませんでした。
美幌峠に行かれたことがある方であれば、想像してみて下さい。美幌峠から見える大パノラマの屈斜路湖が鮮やかなエメラルドグリーンだったのです。本当に素晴らしくきれいな色でしたが、正直言って「異様な色」だとも感じました。

それ以来、美幌峠に魅せられた私は、事ある毎に通いました。一時は毎週のように通ったものでした。しかし、何度美幌峠に行っても、あの時の鮮やかな色の屈斜路湖は見ることができませんでした。
北見を離れてから四半世紀が過ぎ、帰省の度に美幌峠に通いましたが、やはりそこにあるのは昔から変わらない風景(濃いブルーの屈斜路湖)でした。変わったのは、行く度に必ず買って食べていたレストハウスで売っている「あげいも」の値段がこの30年で¥100⇒¥250円になった事でしょうか。(笑)
(余談ですが、この「あげいも」は超おすすめです。単にジャガイモに衣をつけて揚げただけのものですが、ほんのりとした甘みがジャガイモと最高に合います。特に寒い冬に食べると非常においしいです。今まで、一緒に行った人には必ず食べさせていますが、気に入らなかった人はいないという優れものです。) http://www.hokkaido-michinoeki.jp/data/76/each.htm

●エメラルドグリーンの屈斜路湖は幻か?
最初は、エメラルドグリーンの屈斜路湖を求めて通っていた美幌峠ですが、だんだんとその素晴らしい大パノラマの風景を眺めることと、「あげいも」を食べることが目的になってしまいました。それはそれでしょうがないことですが、30年以上経ってしまったこともあり、最近は「あのエメラルドグリーンの屈斜路湖ってもしかして記憶違いでは?」とまで思うようになっていました。
そんな時に、たまたま行き着いたとあるHPに『私は以前、エメラルドグリーンに輝くすばらしい屈斜路湖を美幌峠から見ているが』という記述を見つけました。これは私が見たものと同じものでは?と思い、早速メールをして確認しました。その結果、やはり同時期であることが確認できました。やっぱり記憶違いではなかったんだ...。

それに勢いを付けていろいろとHPを探しましたが、他には関連したものはありませんでした。そこで思いついたのが、「美幌峠からの屈斜路湖を一番見ているのは、レストハウスに居る人達だ」ということです。ということで、美幌峠物産館に聞いてみたのですが、現在の売店関係の人で見たことのある人は居ないとの事でした。しかし、その後も担当の方がいろいろな方に聞いて頂いたようで、

『エメラルドグリーンの湖ですが美幌町に見た人がいました。話を聞くと、やはりとても奇跡的な気象現象と偶然がかさならないと起こらない、とってもレアな体験だそうです。まさに屈斜路湖の幻ですね。』

という事を教えて頂きました。毎日見ている人達が見たことない、奇跡的な現象なのであれば、年に数回しか行かない私があの日以来、見ることができないのは当たり前ですね。(笑)
以上の結果から、言えることは...

  • エメラルドグリーンの屈斜路湖は確かに30年前に存在した
  • それは超レアな現象であり、美幌峠のレストハウスの人達も見たことがない


●証拠写真を探せ!
物産館の方が言うように超レアな体験なのであれば、その証拠はないか...と考えました。そして、そう言えば、家族で行った時に写真を撮ったはず...と思い到り、祖母の1周忌で帰省した際に父に聞いて探してもらいました。父は家の中をごそごそと探して古いアルバムを持ってきました。その中に、あの日のエメラルドグリーンの屈斜路湖の写真がありました! やはり、記憶違いではなかったのです。日付も書いてあります。昭和54年8月19日でした。
その写真が、これです。
bihoroL.JPG どうですか? 私の記憶では、もっと明るく白っぽかった(白根山のお釜の色に近い)のですが、写真ではなかなか出ない色なのでしょう。でも、通常の色と違う事は十分に分かると思います。


●レア現象の推定原因
エメラルドグリーンの屈斜路湖ですが、その発生原因を素人なりに考えてみました。
あの日は、本当に雲ひとつない超快晴で北海道ではあまりないほど非常に日差しが強く、ほぼ真上から照り付けていたことを覚えています。これは、例の写真を見ても分かります。写真の影の黒さ(コントラストの強さ)は尋常ではありません。よほど日差しが強く、日差しを拡散させる雲が無かった事を示していると考えられます。

次に関連しそうなものは、湖水の透明度です。湖面がエメラルドグリーンに見えるためには、湖水の透明度が低く湖面近くで光が散乱することが条件だと思います。(例えば、白根山のお釜のように白濁した水と太陽光によってあのような色が出ると思います)

smasyus3.JPG
それでは、逆に透明度が高い場合はどうでしょうか?左の写真は、同じ日に摩周湖で撮影したものです。摩周湖は、その昔、透明度世界一となったこともある湖です。その湖面の色の違いは一目瞭然ですね。摩周湖の場合、真上から入った太陽光は、湖面近くでの光の散乱はほとんどなく、湖面の奥深くまで侵入して、反射が少ないため、他に例を見ないような濃いブルーとなるのだと思います。


 以上、私の(ほとんど当てにならない)推定原因は、次の3つの合わせ技と考えます。

  • 雲が全くなく、日差しが非常に強かった。
  • 太陽光が湖面に対してほぼ真上から入射した。
  • 屈斜路湖の透明度が落ちていた(地震 or 火山活動等が原因? ⇒ この件の当時の情報は未確認)

●最後に
これからも私は、美幌峠から屈斜路湖を眺めていくことでしょう。でも、あのエメラルドグリーンの屈斜路湖は2度と見る事はできないと確信しています。理由は、

  • 毎日見ている美幌峠物産館の人達が見た事ない
  • 30年間、かなりの回数屈斜路湖を見ているが、あの時の色に少しでも近い湖面は見た事がない

です。あと何年 生きられるか分かりませんが、この神秘現象を子供達に語り継いで行こうと思います。(大げさか?)

●追記
高校時代の同級生から情報が入りました。昭和50~54年頃までは、かなり頻繁にエメラルドグリーンの屈斜路湖を見ることができたそうです。
ということは、やはり屈斜路湖の透明度の影響なのかも知れません。
それを聞いて思い出したのですが、その当時ボートに乗ると浅瀬であってもほとんど湖底が見えなかったし、水の色はもっとグリーンっぽい色だったような気がします。

 

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コメント 2

どさんこです。

こんにちは。
屈斜路湖がエメラルドグリーンだったのは、たぶん酸性だったからです。
昭和50年代前半ぐらいまで、水質がかなり酸性でした。
詳しくは文献がいろいろあるので、調べてみてください。

今でも阿寒国立公園のオンネトー湖で昭和50年頃の屈斜路湖と同じような湖面が見られます。
by どさんこです。 (2010-02-14 22:30) 

Simple

どさんこさん、
コメントありがとうございます。
私もどさんこさんがおっしゃるように火山活動の影響で水質が変わったからだと思っています。
でも不思議なのが、昭和54年にエメラルドグリーンを見てから時間を空けずにかなり通いましたが、あの色は一度も見たことがないことです。
水質がそんなに急激に変わるのはどうもよく分かりません。
by Simple (2010-02-15 23:02) 

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