千利休とその弟子が織りなすドラマ 「利休七哲」 西崎泰正、工藤かずや著 を読む [美術]
今回は漫画です。西崎泰正、工藤かずや著の 闘茶大名「利休七哲」です。
お茶には疎い私ですが、茶道具(特に茶碗)は好きなので興味深く読みました。
Wikipediaなどを見てみると、利休七哲とは、千利休の高弟七名の呼称のようです。
・細川忠興(三斎)
・古田重然(織部)
・芝山宗綱(監物)
・瀬田正忠(掃部)
・蒲生氏郷
・高山長房(右近/南坊)
・牧村利貞(兵部)
この七哲に織田長益(有楽斎)、千道安(利休の実子)、荒木村重(道薫)を加えて「利休十哲(じってつ)」と呼ぶそうです。この本は、七哲だけでなく、十哲を含めて利休を巡る茶人達の生涯を描いたものです。
内容は、以下の通りです。
第一話 荒木高麗と茶人の生涯
第二話 山上宗二の嘆き 侘茶心得
第三話 大徳寺の木像と利休の運命
第四話 蒲生氏郷 最期の意地
第五話 古田織部 貫きし矜持
第六話 織田有楽 戦国を生き抜きし魂
第七話 高山右近 武と茶と信仰の果て
終章 千宗旦
この中で、一番興味深かったのが、第一話の荒木村重の話です。信長、秀吉ともに利休を愛でて茶道を嗜んだことは有名ですが、特に信長は茶道具の大コレクターだったそうです。
有名な所では、松永弾正の一件です。弾正が謀反を起こした時に秘蔵していた茶釜「平蜘蛛」を差し出せば謀反を不問に付すと提案しましたが、弾正は拒否して「平蜘蛛」に爆薬を入れ、自ら火をかけて爆死しました。しかし、茶道具を差し出せば謀反を許すってどういうことなのでしょうね。信長は「平蜘蛛」を手に入れたいために弾正を攻めたようにも思えます。
そして、この本の荒木村重の件です。摂津三十万石の村重に対して信長は謀反の疑いありと十万の兵を挙げて攻め寄ります。荒木村重は、「荒木高麗」という名物茶器を所有していることで有名でした。その価格は現在の価格で約1億5千万円だとのこと。(荒木高麗の画像がないので、イメージです)
そして、信長は「荒木高麗」を差し出せば帰参を許すとの提案をしますが、村重は拒否します。家族や重臣たちは、自分達の命よりも「荒木高麗」の方が大事なのか、 と反発しますが村重の決意は変わりません。結局、城は落とされて家族や重臣たちは皆殺しになりますが、村重は「荒木高麗」を携えて、わずかな部下と逃げ落ちます。
この本では、村重は茶人として命がけで信長の手から「荒木高麗」を守ったとなっていますが、私にはこれが本当の茶人の生き方なのか疑問に思いました。名物茶器とは言え茶道具のために家族や重臣たちを犠牲にする生き方を利休が認めたとはどうも納得が行きません。この辺りは、史実がどうなのか気になる所です。
しかし、信長や秀吉などが、黄金ではなく古びた茶碗や茶釜を求めて戦をしていたというのは、とても面白いと感じました。どこまで本当なのか分かりませんが、とても興味深く読みました。
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このブログの目次です。
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17-1
お茶には疎い私ですが、茶道具(特に茶碗)は好きなので興味深く読みました。
Wikipediaなどを見てみると、利休七哲とは、千利休の高弟七名の呼称のようです。
・細川忠興(三斎)
・古田重然(織部)
・芝山宗綱(監物)
・瀬田正忠(掃部)
・蒲生氏郷
・高山長房(右近/南坊)
・牧村利貞(兵部)
この七哲に織田長益(有楽斎)、千道安(利休の実子)、荒木村重(道薫)を加えて「利休十哲(じってつ)」と呼ぶそうです。この本は、七哲だけでなく、十哲を含めて利休を巡る茶人達の生涯を描いたものです。
内容は、以下の通りです。
第一話 荒木高麗と茶人の生涯
第二話 山上宗二の嘆き 侘茶心得
第三話 大徳寺の木像と利休の運命
第四話 蒲生氏郷 最期の意地
第五話 古田織部 貫きし矜持
第六話 織田有楽 戦国を生き抜きし魂
第七話 高山右近 武と茶と信仰の果て
終章 千宗旦
この中で、一番興味深かったのが、第一話の荒木村重の話です。信長、秀吉ともに利休を愛でて茶道を嗜んだことは有名ですが、特に信長は茶道具の大コレクターだったそうです。
有名な所では、松永弾正の一件です。弾正が謀反を起こした時に秘蔵していた茶釜「平蜘蛛」を差し出せば謀反を不問に付すと提案しましたが、弾正は拒否して「平蜘蛛」に爆薬を入れ、自ら火をかけて爆死しました。しかし、茶道具を差し出せば謀反を許すってどういうことなのでしょうね。信長は「平蜘蛛」を手に入れたいために弾正を攻めたようにも思えます。
そして、この本の荒木村重の件です。摂津三十万石の村重に対して信長は謀反の疑いありと十万の兵を挙げて攻め寄ります。荒木村重は、「荒木高麗」という名物茶器を所有していることで有名でした。その価格は現在の価格で約1億5千万円だとのこと。(荒木高麗の画像がないので、イメージです)
そして、信長は「荒木高麗」を差し出せば帰参を許すとの提案をしますが、村重は拒否します。家族や重臣たちは、自分達の命よりも「荒木高麗」の方が大事なのか、 と反発しますが村重の決意は変わりません。結局、城は落とされて家族や重臣たちは皆殺しになりますが、村重は「荒木高麗」を携えて、わずかな部下と逃げ落ちます。
この本では、村重は茶人として命がけで信長の手から「荒木高麗」を守ったとなっていますが、私にはこれが本当の茶人の生き方なのか疑問に思いました。名物茶器とは言え茶道具のために家族や重臣たちを犠牲にする生き方を利休が認めたとはどうも納得が行きません。この辺りは、史実がどうなのか気になる所です。
しかし、信長や秀吉などが、黄金ではなく古びた茶碗や茶釜を求めて戦をしていたというのは、とても面白いと感じました。どこまで本当なのか分かりませんが、とても興味深く読みました。
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タグ:利休 茶道具 信長 秀吉
古田織部を中心に描かれている「へうげもの」は
読んでいるのですが、こちらは知りませんでした。
重複する部分もあるようですが、こちらも興味深いです。
by TBM (2010-12-25 00:37)
TBMさん
Nice&コメントありがとうございます。
私は「へうげもの」は読んでいません。(笑)
この本の古田織部の話も面白いですよ!
by Simple (2010-12-25 01:36)