ミシュラン東京の星を予想する! 「3つ星ガイド」をガイドする 山本益博著 を読む [社会]
この本は少し古い本ですが、2007年末に初めて日本でミシュランガイドが発売になるのを聞いて、料理評論家の山本益博氏が自ら東京のレストランを食べ歩き、ミシュランの星を予想した本です。
山本氏は、1973年からミシュランガイドを片手に10年かけてフランス中の名だたるレストランを回って、その記載内容の正確さ、信頼度を身をもって実感したそうです。もちろん、まれに星の評価に疑問を感じるものがないわけではありませんが、外のガイドブックに比べると精度は格段に高いそうです。
さて、山本氏が実際にミシュランの視点で東京のレストランを食べあるいて感じたのが、
初めて「ミシュランガイド東京2008」が発売された時、3つ星を含めて星の多さに驚きました。その時は、日本で初めてなので少し甘く付けたのでは?
と感じました。しかし、 ミシュランは世界共通の判定基準で星を付けているそうですので、東京のレストランに対する山本氏の感想を読むと、少しうれしくなります。
しかし、山本氏は日本料理に関しては、以下のように厳しい感想を持ったそうです。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、山本氏が選んだレストランと2008年版の実際の星の評価を比べてみましょう。
●フランス料理
●イタリア料理
・山本氏の評定では、該当店なし。日本のイタリア料理はおいしいけど創造性に乏しい。あえて付ければ、「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」だが、一日一組4人しか入れないので、ミシュランの調査員も行けないだろう、とのこと。
実際のミシュランの2008年版では、2つ星1店、1つ星7店が選ばれました。山本氏はイタリア料理には厳しすぎる?
●スペイン料理
・スペイン料理は、山本氏の予想通りでしたね。1つ星にもう1店選ばれました。
●中華料理
ミシュランは化学調味料を使う店を認めないので中華料理には厳しいそうです。いくらおいしくても化学調味料を使っている時点で選考からはずされるとのことです。これまでミシュランが中国料理の店で付けた最高の星は1つ星とのことでしたが、東京では2つ星1店と1つ星に4店が選ばれました。
●日本料理
山本氏の日本料理に関するコメントです。その通りにたくさんの星を取りました。
「日本料理は世界でポピュラーになっているが、多くの人が本当の日本料理を知らない。東京の日本料理屋に3つ星が付くことで、世界中の人が本当の日本料理を知る大きな機会となるだろう。ニューヨークで2つ星がついた「MASA」を基準とすれば、東京の日本料理店には多くの星が付くだろう。」
山本氏は、1973年からミシュランガイドを片手に10年かけてフランス中の名だたるレストランを回って、その記載内容の正確さ、信頼度を身をもって実感したそうです。もちろん、まれに星の評価に疑問を感じるものがないわけではありませんが、外のガイドブックに比べると精度は格段に高いそうです。
さて、山本氏が実際にミシュランの視点で東京のレストランを食べあるいて感じたのが、
「東京は世界にも類を見ない美食の都だ」ということです。 たとえばフランス料理だけを見ても、ジョエル・ロブション、アラン・デュカス、ピエール・ガニェール、ミッシェル・トロワグロ、ポール・ボキューズら3つ星クラスの有名シェフたちが出店し、イキのいい日本人シェフたちの新しいフレンチの店も増えています。 また、イタリアの「エノテカ・ピンキオーリ」「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」、スペインの「サンパウ」などの星つきレストランも支店を出し、中華を見ても本場中国にひけをとらない名店が多い。 さまざまな国のトップレベルの料理が味わえて、そして何よりも、日本を代表する寿司や懐石料理の店があり、江戸東京で発展してきた天ぷらや蕎麦の老舗もある。 わたしは、それこそミシュラン片手に世界中の都市で食べてきましたが、これほどレベルの高い飲食店が集まっている街は知りません。パリ、ローマ、ロンドン、ニューヨークそのどこよりも充実しています。それはミシュランの調査員たちもすぐに感じとったはずです。 |
初めて「ミシュランガイド東京2008」が発売された時、3つ星を含めて星の多さに驚きました。その時は、日本で初めてなので少し甘く付けたのでは?
と感じました。しかし、 ミシュランは世界共通の判定基準で星を付けているそうですので、東京のレストランに対する山本氏の感想を読むと、少しうれしくなります。
しかし、山本氏は日本料理に関しては、以下のように厳しい感想を持ったそうです。
日本の料理人、日本人の作る料理には、強い個性が感じられないということ。これは東京を食べ歩いてみて、「3つ星・2つ星をつけられる日本人の料理人は誰か」と見渡したとき、痛切に感じたことです。(中略) 刺身はいつも三点盛り、懐石料理でお肉といえばいまだに牛肉しか出ない。初夏には鮎の塩焼き、秋には松茸、日本の料亭では季節ごとに同じ料理が同じように出てきます。素材のすばらしさや包丁の技術には感心しても、人を感動させる料理人というのはごくごく少数しかいません。ミシュランの目で食べていくと、「料理はどれもすばらしいが、ほかとはどこが違うのですか」という感想が何度も出てきてしまうのです。 |
さて、前置きが長くなってしまいましたが、山本氏が選んだレストランと2008年版の実際の星の評価を比べてみましょう。
●フランス料理
店名 | 山本氏のコメント | 山本氏 予想星数 |
ミシュラン 星数 |
ガストロノミー ジョエル・ロブション | 料理の完成度が圧倒的に高い。最高級の食材を惜しげもなく使い見た目もバラエティに富みフランス料理の進化形ともいうべき料理。 | ★★★ | ★★★ |
ラ・ターブル・ドゥ・ジョエル・ロブション | ガストロミーに比べるとややカジュアルな店。(2009年版では、2つ星に昇格) | ★ | ★ |
ピエール・ガニェール・ア・東京 | 東京のパステルカラーのイメージに合わせた料理を出す。(2009年降格し、2010年閉店したそうです) | ★★★ | ★★ |
キュイジーヌ ミッシェル・トロワグロ | 個性的かつフランス人らしいエスプリを感じる。食材にはフランス料理の伝統的なものを使用し、アジアのテイストを加味している。 | ★★★ | ★★ |
ロオジエ | 東京を代表するグランメゾン(最高級フランス料理) | ★★ or ★★★ |
★★★ |
レ セゾン | 伝統を踏まえた上での斬新さがあり、食べる側の感性を刺激する。 | ★★ | ★ |
カンテサンス | シェフの岸田周三氏の料理に「哲学」を感じる。メニューはおまかせの1コースのみ。 | ★★ or ★★★ |
★★★ |
ベージュ アラン・デュカス 東京 | 銀座のシャネルビルの最上階にあるレストラン。シンプルかつモダンな料理を出す。 | ★★ | ― |
ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション | ロブションがスペインの「タパス」と日本の寿司屋からヒントを得たカウンター式の店。基本的に小皿料理を出す。 | ★ or ★★ |
★★ |
エディション・コウジ シモムラ | 日本の食材の特徴や季節を考えてフランスでは表現できない料理を出す。 2009年版から2つ星獲得。 |
★ | ― |
パッション | 牛肉をワサビ風味で出すなど、日本の食材の特色を生かす。 2010年版から1つ星獲得。 |
★ | ― |
●イタリア料理
・山本氏の評定では、該当店なし。日本のイタリア料理はおいしいけど創造性に乏しい。あえて付ければ、「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」だが、一日一組4人しか入れないので、ミシュランの調査員も行けないだろう、とのこと。
実際のミシュランの2008年版では、2つ星1店、1つ星7店が選ばれました。山本氏はイタリア料理には厳しすぎる?
●スペイン料理
・スペイン料理は、山本氏の予想通りでしたね。1つ星にもう1店選ばれました。
店名 | 山本氏のコメント | 山本氏 予想星数 |
ミシュラン 星数 |
サンパウ | スペインからきた宝石箱。非常にユニークなスペイン料理を出す。 | ★★ | ★★ |
●中華料理
ミシュランは化学調味料を使う店を認めないので中華料理には厳しいそうです。いくらおいしくても化学調味料を使っている時点で選考からはずされるとのことです。これまでミシュランが中国料理の店で付けた最高の星は1つ星とのことでしたが、東京では2つ星1店と1つ星に4店が選ばれました。
店名 | 山本氏のコメント | 山本氏 予想星数 |
ミシュラン 星数 |
厲家菜 | 中華料理店で史上初の2つ星はもちろん、3つ星がついてもおかしくない。家庭料理の高級中華料理店。 | ★★ or ★★★ |
★★ |
福臨門 | 香港発の高級広東料理店。燕の巣やアワビなど高級食材の使い方が素晴らしい。 | ★★ | ― |
メゾン・ド・ウメモト 上海 | 20代半ばの若い日本人シェフ梅本恒久氏の店。通年で上海蟹を使った料理を出す。 | ★ | ★ |
●日本料理
山本氏の日本料理に関するコメントです。その通りにたくさんの星を取りました。
「日本料理は世界でポピュラーになっているが、多くの人が本当の日本料理を知らない。東京の日本料理屋に3つ星が付くことで、世界中の人が本当の日本料理を知る大きな機会となるだろう。ニューヨークで2つ星がついた「MASA」を基準とすれば、東京の日本料理店には多くの星が付くだろう。」
店名 | 山本氏のコメント | 山本氏 予想星数 |
ミシュラン 星数 |
青柳 | 徳島出身の小山裕久氏の店。外国人がびっくりするような特徴のある料理がいくつも出てくる。オリジナリティーあふれた個性があり、食材の質も申し分なく、料理の完成度も高い。 | ★★★ | ― |
すきやばし次郎 | ジョエル・ロブションが「天国に一番近い場所」、「飛行機に乗ってでも来たい店」の 2店のうちの一つと評した店。地下に店があり、トイレも共同でミシュランで星が付けば異色な店となる。 | ★★★ | ★★★ |
小十 | 「青柳」で修業した奥田氏の店。素材の持ち味を生かすのが大変うまく、非常に丁寧な仕事をする。 | ★ | ★★★ |
龍吟 | 日本料理の中にスペイン風を取りこんだ料理を出す。 | ★★ | ★★ |
菊乃井 | 京都東山の老舗店の東京店。老舗の風格と日本の伝統的な料亭の良さを感じさせる。 | ★★ | ★★ |
招福楼 | スタンダードな懐石料理。四季の味覚を代表する旬の素材を使っている。 | ★★ | ★ |
吉兆 | ホテル内にあるので、外国人を意識し過ぎたメニューが残念。 | ★★ | ― |
あら皮 (あらは鹿が三つ) |
唯一突き抜けた個性を持つステーキ専門店。ステーキを普通の鉄板ではなく炉釜で焼いている。 | ★★ | ★ |
水谷 | ★ | ★★★ | |
鮨処しみづ | まじめに江戸前の握りをやっている。 | ★ | ― |
寿司幸 | ★ | ★ | |
青空 | 「すきやばし次郎」にいた高橋氏の店。 | ★ or ★★ |
★ |
鮨かねさか | ★ | ★★ | |
竹やぶ(蕎麦) | そば粉でつくったクレープを使うなどユニーク。 | ★ | ★ |
翁(蕎麦) | 蕎麦打ちの名人が出した店。コースの後に蕎麦がでる。 | ★ | ★ |
小拙(蕎麦) | ↑ | ★ | ★ |
野田岩(うなぎ) | ロブションなどフランス人シェフもお気に入りの店。 | ★★ | ― |
みかわ本店 | 天ぷらではこの店。 | ★ | ― |
辻留 | 茶懐石の正当派。 | ★ | ― |
和幸 | 茶懐石の店。 | ★ | ― |
日本料理で、山本氏が一番のお勧めなのが小山裕久氏のお店である「青柳」です。小山氏は、マンガの「美味しんぼ」に登場していますし、山本氏の推薦で「料理の鉄人」に登場して鉄人坂井と戦いましたのでご存じの方も多いと思います。(残念ながら鉄人に負けましたが...)
しかし、ミシュラン2008年版では、小山さんの「青柳」で修業した弟子の店である「小十」と「神田」の2店が3つ星に輝きましたが、「青柳」にはミシュランの調査員も来なかったようです。不思議なことですね。
山本さんも残念だったと思います。
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このブログの目次です。
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17-1
Simpleさん こんにちは^^
いや~読んでいると一度は食べに行ってみたくなります。
残念ながら、まだどの店にも行ったことがないですが、
いつの日かチャレンジしてみたいですね。
by RONRON (2011-01-28 19:57)
RONRON さん
Nice!&コメントありがとうございます。
私も3つ星濱田屋の支店に行ったぐらいでほとんど行ったことがありません。(笑)
いろいろと食べてみたいですよね。
by Simple (2011-01-29 11:57)
TBM さん
Nice! ありがとうございます。
私も 「禁断のギリシャ神話」、本屋で目について買おうかと思いました。(笑) 面白そうですね。
by Simple (2011-01-29 12:02)
山本益博さん、ラジオで何度かお話聴いたことがあります。
でも、まったく経歴は知りませんでした。
おいしい天ぷら食べたいな〜と思っていますが、三ッ星はちょっとハードル高過ぎですね(笑)
by mo_co (2011-01-30 19:30)
mo_co さん
Nice! & コメントありがとうございます。
山本さんは、ロブションなどのフランス料理のシェフと交流があるようです。
鮨の「すきやばし次郎」をちょっと褒めすぎなのは気になりますが、書いてあることは説得力がありますね。
私も載っているレストランに行きたいです。(笑)
by Simple (2011-01-30 21:27)