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この500年、白人は世界で何をしてきたか!!「侵略の世界史」 清水馨八郎著 を読む [社会]

清水馨八郎氏の「侵略の世界史」です。副題は、「この500年、白人は世界で何をしてきたか」というものです。

侵略の世界史―この500年、白人は世界で何をしてきたか (祥伝社黄金文庫)
第二次大戦後、日本は中国・韓国などから「侵略国家」と言われ続けています。そして、各国への謝罪外交が国是となっている世界でも稀な国となっています。それに対して清水氏は歴史を数十年単位で近視眼的にみるのではなく、もっと長いスパンでみるできだと言います。




(ナレーションが良いのでオーディオブックもお勧めです。私も何度も聞きなおしています。)
侵略の世界史―この500年、白人は世界で何をしてきたか 倍速版

歴史は虹である。近世500年の歴史を大空に懸る虹の橋と見立てると、白人の陰謀の歴史がその虹の彼方に鮮やかに映し出されてくる。その上に浮かぶ日本の存在と、ひとり迎え撃つ日露や大東亜戦争の世界史的意義が鮮明にわかる。

私たちは大東亜戦争後、米国の占領政策で日本が再び米国に復讐できないように、日本民族の愛国憂国の魂を抜き去り、戦犯意識を刷り込み、さらに敵を味方にスリカエるという巧妙な占領政策を7年間も続けられました。振り返ってみると真珠湾攻撃から敗戦までわずか3年半ですが、米国はマッカーサーを使い、その2倍の期間を使って精神の武装解除を行ってきたと清水氏は主張します。

そして、私たちの世界史観は、徹底的に西洋世界からみたものとなっています。
コロンブスのアメリカ大陸発見は、世界史上前人未到の大壮挙である。われわれは 小さい時から、「コロンブスの卵」の寓話とともに、人類の発展、幸福に寄与した偉人、英雄として教えられてきた。ところがこの壮挙は、西欧白人の非白人に対する侵略史のはじまり、悲劇の出発点だったのである。
そもそもアメリカ大陸発見、新大陸発見の「発見」という言葉に幻惑されて、これまでわれわれは、その裏にある先住民の悲惨な歴史には、まったく気がつかないでいた。(中略)
発見とは、地球のほんの一隅に位置するヨーロッパ人が、初めてアメリカ大陸のあることを知っただけで、そこには紀元前約四万年から二万五千年も前から、アジアに住んでいたわれわれ日本人と同系統のモンゴロイドが移り住んでいたのである。だから発見ではなく、白人が単に到達した、というべきである。

コロンブスは、子供の頃にマルコポーロの「東方見聞録」を読み、黄金の国ジパングにあこがれ、ジパングを目指して航海に出たそうです。コロンブスはスペインのイサベル女王の援助を得て、1492年に東洋を目指して大西洋に乗り出しました。そして、約2カ月後、カリブ海のバハマ諸島のサンサルバドル島に到着します。コロンブスは目的のジパングよりかなり南についたと考えてバハマ諸島をインドの近くと考え、先住民たちをインディアン(インド人)と呼んでいました。

そして、このコロンブスの新大陸発見が、悲惨なスペイン、ポルトガル、オランダ、英国などの植民地争奪戦の引き金となりました。まず最初に新大陸に上陸したスペインは、中南米のアステカ帝国、インカ帝国、マヤ帝国などを次々と滅ぼしていきます。
スペインの中・南米大陸の征服は、世界史上空前の信じがたい出来事だった。スペイン人エルナン・コルテスは、わずか400人の手兵と50頭の馬でアステカ王国を征服し、支配を確立し、同じくフランシスコ・ピサロは、さらに少ない兵士でインカ帝国を滅ぼしてしまった。これによりメキシコとペルーのインディアスは、絶滅こそしなかったが、隷属と悲嘆の中に細々と生き残ることになった。(中略)
さて、コロンブス以来 、スペイン人の征服者によって中南米の原住民のインディアスが、約一世紀の間にどれほど犠牲になったかを推計してみる。これをカリブ海地域と、メキシコ中央部のアステカ地域と、ベル―中心部のインカ地域に分類してみる。(中略)
以上、約3,300万人である。(中略)
ともかくヨーロッパ人の侵略によって、一世紀足らずの間に、それまで独自の文明を打ち立てて、平和で幸せに暮らしていた罪のない先住民を、ほぼ全滅させてしまったのである。

スペイン、ポルトガルはキリスト教を全面に出して、神の名のもとに先住民たちを抹殺していきました。キリスト教からみると白人以外の人間は、人間とはみなされず、当時の彼らにはまったく罪の意識はありませんでした。特にキリスト教を信じない異教徒は殺されてしかるべき存在でした。ここが一神教の恐ろしいところだと思います。

そして、その魔の手がいよいよ日本に迫ってきたのでした。
ポルトガルの軍勢は、さらに東に進み、1511年、マレー半島の南部のマラッカに到着し、マラッカ王国を征服してこれを占領、マラッカを東洋貿易の拠点とした。さらにポルトガルは、南シナ海に出て北上し、1557年には支那のマカオを獲得している。(中略)
新航路発見を機に、スペイン、ポルトガル両国は争って通商・植民活動に乗り出し、両国の間で発見した土地、島の帰属を巡って紛争が続出しはじめた。両国ともローマ教皇下にあったので、教皇アレクサンドル六世が教書を出して、両者の進出領域を決定した。
それによれば、アフリカの西岸ヴェルデ岬諸島の西方の西経45度の子午線を基準に、西方をスペイン、東方をポルトガルの進出範囲とした。(中略)
しかし、両国の世界制覇の波が地球の裏側で再びぶつかり合うのは必定で、1529年、サラゴサ協定によってアジアでの分界線を東経135度に定められた。この線はまさに日本を真二つに分断することになった
ちょうどその頃、1543年にポルトガル人が種子島に上陸し、その六年後の1549年に、スペインのフランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸した。まさに日本は二つの侵略国の先端が衝突する地点にあったのである。

しかし、結果的に日本が侵略されることはありませんでした。それは、当時の日本は戦国時代であったため、たかだか数百名の兵士では日本を占領することなどできなかったからです。スペインに滅ぼされたアステカ帝国やインカ帝国は、馬や鉄砲も知らないような比較的平和な国だったことが災いしましたが、日本は毎日どこかで戦が行われているような状況でした。
また、当時の日本人には南蛮人がおどろくほどの知識や技術がありました。種子島に鉄砲が伝来してから1年後には10挺の鉄砲が作られ、数年後に種子島には600挺の鉄砲があったそうです。つまり、南米の征服に有効であった鉄砲をすぐに日本人も手に入れてしまったのです。そして、鉄砲伝来からわずか32年後の長篠の闘いで、信長は3,000人の鉄砲隊を実戦投入しているほどに使いこなしていました。

この南米や東南アジアの国々がほろぼされたり、植民地となっていた時代に唯一日本だけが欧米の侵略を受けなかったのは、決して平和な国だったからではありません。これは現在の国防を考える時に、歴史の教訓とすべきことだと思います。

そして、ヨーロッパ人たちは、先住民たちを殺し過ぎてしまったため、農業や鉱山の労働者が不足してしまいました。そして、彼らはそこで新たな大きな罪を犯したのです。植民地の労働力不足の分をアフリカからの奴隷で補なおうと考えたのです。

奴隷貿易の最盛期を迎えるのは、18世紀である。推計では16世紀は90万人、17世紀は300万人、18世紀は700万人、19世紀は約400万人が奴隷として売買されたといわれている。概算で1500万人である。一人の黒人を新大陸に連れて行くまでに、五人の黒人が中途で死んだという恐るべき推計があるから、アフリカから働き盛りの黒人が数千万から一億人近く連れ出されたたことになる。
黒人奴隷を一番多く移入したのはカリブ諸島で約40%を占め、次に砂糖のプランテーション労働などのためブラジルへ38%が運ばれた。残りはアメリカ南部のプランテーションである。
アフリカは大きな大陸でありながら、現在世界一過疎の大陸になったのは、働き盛りの男子を大量に新大陸に奪い去られたからである。

輸送時の死亡率に関してはいろいろと議論があるようですが、白人以外の人間は人間とみなさず白人のために働くべき動物として解釈していたからこそ、このような恐ろしい行為を行うことができたのでしょう。日本の人口に匹敵する黒人が南米に連れ去られたというのは本当に信じられません。

そして、先進国と言われているヨーロッパのポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス、フランスがこの奴隷貿易を行っていたことは忘れてはいけないと思います。特にアメリカが一番最後まで奴隷を酷使していたことは記憶の留めておきべきことだと思います。

日本や韓国では、北朝鮮の拉致問題を大問題として騒いでいますが、アメリカを含めて他の国の反応がいまいちなのは、「黒人の奴隷貿易に比べれば全然大した話ではない」、「自分達はそれよりもずっとひどいことをしていた」という感覚があるのかと疑ってしまいますね。

そして、いよいよ米国の侵略が始まります。まずは、スペインと戦ってキューバ、プエルトリコを奪います。さらにフィリピンも奪って米国の領土とし、ハワイ、グアム、サモア群島を奪取して極東進出の拠点を作りました。当時ハワイはカメハメハ王朝下で、明治以来日本人の移民が多かったため、ハワイの女王は明治天皇に救援を求めてきましたが、当時の日本にはアメリカと戦う力がなかったため、見殺しにせざるを得ませんでした。

日本に対して米の太平洋覇権の完成のため日本を侵略者として、戦争に出るように挑発し、原爆で一時に三十万人を殺戮し、百十三の都市を焼夷弾で焼け野原にし、数百万の被災者を生んだ。その惨状はマンハッタンの悲劇(911事件のこと:引用者注)どころではない。二百年余で世界の王者、超大国にのし上がるために、米国はどれほど国際法違反の残虐行為を連続的に働いたか計り知れない。これら歴史の事実については米は一度も反省したことがない。オサマ・ビンラディンは今回のテロ後、テレビで次の声明を出している。
米国が地の果てにある日本で数十万人を原爆で殺した時も犯罪とはならなかった。米国相手にヒロシマの仇を敢行するのだ」と。
米国人の三つの心の傷(トラウマ)、即ちインディアン五百万人の抹殺、黒人奴隷何百万を世界で一番長く酷使し、日本に原爆を投下した。

清水氏は、日本の朝鮮併合や満州進出は、ロシア、中国の脅威に対する防衛のためにやったことであるとの記載をしています。また、中国への進出は、「ナチスドイツとの戦いのため日本軍を南に下げたい」ソ連、「日米戦に備えて日本の国力を低下させたい」米国、「日本と中華民国を戦わせて漁夫の利を得たい」中国共産党の思惑が一致し、仕掛けられた戦争だと主張しています。
私もその通りだと思っていますが、これに対してはいろいろと議論があるでしょうから、詳述はしません。

そして、私たちは子供のころから「戦前の日本は悪かった」、「米英の連合軍は正義の闘いを行った」ように刷り込まれていますが、本当にそうだったのでしょうか?
私たちの祖父や祖母、父や母たちは本当に愚かだったのでしょうか?

この本を読むと、過去に米英の国々が白人以外の人たちに、どんなにひどいことをしてきたのかがわかります。そして私たちは、私たちを「正しく導いてくれた正しいアメリカ」が第二次大戦後に何をしてきたかを知っています。
朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争...。日本を正しい「平和国家」に導いてくれ、平和憲法をさずけてくれたアメリカはなぜ戦争ばかりやっているのでしょうか?

これでは、戦前のアメリカと戦後のアメリカはとんでもなく悪い国であったが、日本と戦っていた間とマッカーサーの占領下の時だけ良い国だったことになります。(笑)
東京裁判で裁かれた人たちは本当悪い人たちだったのでしょうか?

清水氏の本はその辺りを考えるために非常に参考になる本です。
いろいろと突っ込みたい部分はありますが、世界史を通して日本をみる、という視点を与えてくれるという意味で、ぜひみなさんに読んで欲しい一冊です。

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http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17-1

裏切りの世界史―この1000年、彼らはいかに騙し、強奪してきたか (祥伝社黄金文庫)「日本文明」の真価―今、世界が注目する (祥伝社黄金文庫)大東亜戦争の正体―それはアメリカの侵略戦争だった破約の世界史—この1000年、彼らはいかに騙し、裏切ったか



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Simple

TBMさん

いつもNice! ありがとうございます。
 「盗まれた貴婦人」 、面白そうですね。
by Simple (2011-02-06 10:51) 

Simple

りぼん さん

Nice! ありがとうございます。
ハンカチ王子の初任給125万円ですが、宣伝効果を考えるともっとあげてもいいように思いますね。
サラリーマンに比べるとケガした時などのリスクが大きいですからね。
by Simple (2011-02-06 10:56) 

Simple

RONRON さん

Nice! ありがとうございます。
孫さんの本面白そうですね。孫さんの本を読むと元気になりますよね。
by Simple (2011-02-06 23:28) 

Simple

mo_co さん

Nice! ありがとうございます。
私のiphoneのカバーは買った時からそのままでキズだらけです。(笑)
by Simple (2011-02-08 22:08) 

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