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歌川広重の「東海道五拾三次」と司馬江漢の元画? 広重「東海道五十三次」の秘密 対中如雲著 を読む [美術]

東京ミッドタウンにあるサントリー美術館で「殿様も犬も旅した 広重 東海道五拾三次」を見てきました。
広重の代表作である「東海道五十三次」ををメインにした展覧会です。
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/11vol06/index.html

この企画展では、同じ場所を広重の画(保永堂版と隷書版)を比較したり、「初摺」と「後摺」を比較したり、変わり図と比べたり、いろいろな試みがされていますが30分くらいで見終わる感じで、私にはちょっと物足りない感じがしました。

広重「東海道五十三次」の秘密―新発見、その元絵は司馬江漢だった (ノン・ブック)
さて、広重といえば私には思い出深い本があります。これは当時の伊豆高原美術館館長の対中如雲氏の書いた本です。これは15,6年前に出された本なのですが、私が美術の真贋事件に興味を持つきっかけとなった大事な本です。(この本の内容が正しいという意味ではありません)

内容は、有名な広重の「東海道五十三次」と酷似した肉筆画の画帖が発見され、対中氏が調査した結果、それは司馬江漢の真筆であるというものです。そして、広重と江漢が生きた時代を考えると、広重は江漢のこの画帖を元絵として「東海道五十三次」を描いたという衝撃的なものです。

hasushige.jpg司馬江漢は、有名な浮世絵師である鈴木春信に師事して、春重の名前で作品を残しており、春信の代筆もしていたとも言われています。残された画を見ると確かに人物の描写などは師匠である春信とソックリですが、背景に極端な遠近法を使用することが多いのが特徴です。そして、その後は洋画の世界に入り銅版画のエッチングを日本で初めて制作したり、油彩画で日本の風景を描くなど、日本の洋画家の開拓者と言われています。

その司馬江漢がこの肉筆画の画帖の作者だという対中氏の主張は、TVや新聞などで何度か取り上げられていますので、みなさんもご存じかも知れません。
また、当時館長だった伊豆高原美術館に大々的に展示されていましたし、何冊か関連の書物も出されました。この本を読んだ当時、私は対中氏の主張に感銘を受けて、急病で会社を休んで(ナイショ(笑))わざわざ伊豆高原まで出かけて行って画帖を見にいきました。(当時は仕事が忙しくて、土日も出勤が多くて病気にでもならなければ休めない状況でした...(‐‐; )

その当時はネット回線が狭かったのでインターネットよりもパソコン通信 (うっ、懐かしい響き) のNiftyサーブのフォーラムでこれらの議論がなされました。この本のおかげで、広重の勉強もしましたし、江漢に関してもいろいろと調べ、江漢の展覧会の講演会に行って研究者に質問したりして自分なりの考えをまとめました。

この江漢の画帖に関しては、その当時、「芸術倶楽部」(その後、「Bien」と名前が変わりりました)という美術雑誌が積極的に取り上げており、何度か関連した記事を載せていましたので、毎回購入していました。また、Niftyのフォーラムで「芸術倶楽部」の関係者と知り合いとなったため、この件に関して「●●さんのコメントをもらっては?」というリクエストをして実現したこともありました。

さて、私の意見ですが、残念ながらどう考えても、以下の結論となります。
①この画帖は、司馬江漢の筆による絵ではない。
②この画帖が広重の元画となった可能性は低い。
⇒ 広重の「東海道五十三次」を元に画帖を作られた可能性が高い。

もちろんこれは私の意見ですので、まったく権威も信頼性も無いものです。(^^)

これが江漢作と言われている画帖にある「日本橋」です。下の広重の浮世絵と比較して見て下さい。
koukan.JPG

























nihonbashi.JPG












しかし、この本は私に美術界の裏を見る視点を与えてくれた点で重要な本です。
対中氏は書きます。
そう、広重は、江漢の作品を見て、真似をしたのである。(中略)
だが、この事実を認めることは、研究者、美術愛好家の別を問わず、私を含めた広重を愛する人たちにとって、きわめて辛いことである。できればこの江漢本を贋作と決めつけておきたい。あるいは、江漢本の存在などしらないことにしておきたい。なかったことにしておきたい。こう考えるのは人情である。(中略)
しかし、事実は事実として明らかにされねばならない。とくに研究者にとって「臭いものには蓋」的な姿勢は、厳に慎まなければならない
どう考えても下線を引いた部分の対中氏の主張は正しいです。(その前の記載には疑問がありますが...)

さらに、最後に対中氏は日本の美術会に3つの提言をしています。
1.美術・芸術作品の国家的鑑定機関の設置
2.美術・芸術作品の保存・補修・管理と、技術者の養成機関の必要性
3.若き芸術家たちへの援助・協力機関の必要性
まったくその通りだと思います。本当に。
若かった当時の私は、これらの対中氏の主張を読んで、「対中氏はすばらしい! この人の言っていることは正しい。対中氏の方が広重に関しても江漢に関しても深く研究しているし、鑑定眼もあるはずだ...」と信じていました。
まったく甘いですね。(笑)
「一般論として素晴らしいことうをいう人ほど疑ってかかれ」というのが最近の私のポリシーです。
美術の世界はいろいろな意味で奥が深いです。

この本は、広重や江漢、浮世絵に関してもいろいろと書かれているので、興味がある方にはお勧めです。

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コメント 5

Simple

tsworking さん

Nice! ありがとうございます。
うちはクリスマスは明日です。(^^)
by Simple (2011-12-24 19:50) 

Simple

マチャ さん

Nice! ありがとうございます。
東大寺はスケールが大きいですね。
奈良に行きたくなりました。
by Simple (2011-12-24 19:55) 

Simple

mo_co さん

Nice! ありがとうございます。
お風呂掃除は大変ですよね。
by Simple (2011-12-25 01:22) 

Simple

TBM さん

Nice! ありがとうございます。
天皇杯、セレッソは勝ったんですね。
by Simple (2011-12-27 22:59) 

事情しっているものです。

柴窑というものを知っていますか。
これをもってある中国のYuという人とと組んであっちこっちお金を集めてきて、Yuは牢屋に入っているのです。
by 事情しっているものです。 (2019-09-24 01:25) 

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