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脳は平気で嘘をつく -「嘘」と「誤解」の心理学入門 植木理恵著を読む [脳に関して]


脳は平気で嘘をつく  「嘘」と「誤解」の心理学入門 (角川oneテーマ21)さんまの「ほんまでっか!?TV」でおなじみの気鋭の「美人」心理学者植木理恵先生の本です。

人間は絶対に正しくものを見ることができない、という本です。
人には”主観”というものがあり、その”主観”によって情報は取捨選択され、もとの形とは大分異なる歪んだ情報がインプットされてしまう。
過去の研究でも、人は主観なくして他人を見られないことが分かっている。「相手の印象」というものをインプットする時、客観的なデータというのはほとんど加味されないのである。」
これは苫米地先生の本によく出ている、RAS(網様体賦活系)という脳のフィルターによって、自分の見たいものしか見えないということです。よく言われるように、BMWが欲しいと思ったら何となく街にBMWが増えたように感じます。これは本当にBMWの台数が増えたわけではなく、BMWが欲しいと思うとRASがBMWを自分の脳に入るように制御するということです。そして、自分の興味がない部分はRASが通さないので心理的な盲点(スコトーマ)になるのです。
人はこのように「相手のあるがまま」を公平に拾い上げることができない。主観というものによって「自分が見たいもの」だけを見ようとしてしまうのだ。 しかも、多くの人が自分の観察能力を過大評価する傾向にあることも分かっている。 「私は他の人より、”人を見抜く力”がある」と思い込んでしまっている。 人が人を見る上で、”見誤り”が一向になくならないのは、誰もが持っている自分自身への過大評価も多分に絡んでいるのである。

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(植木先生のHPより:http://jp.match.com/landing/CPLanding.aspx?cpp=jpn/cnt/consulting/index.html&avo=1&MTS=1

そして、この本には「ハロー効果」という現象によって、美人が得をすることが書かれています。植木先生もルックスがいいのでいろいろと得しているのでしょうね。(笑)
フランスで行われた実験では、美人の顔写真の人物は、「性格がいい」、「信頼できる」などの高い評価を得たそうです。そして、逆に不美人の場合は「賢そうだが性格は悪そう」、「ヒステリーを起こしそう」などネガティブな評価が多かったそうです。何とも、美人じゃない人には頭にくる実験結果が出たものですね。
これは、アメリカの陪審員裁判でも、「ルックスのいい人」の刑が軽くなり、「ルックスの悪い人」の刑が重くなる傾向があるという同じような結果が報告されているそうです。この評価は、男女に関係ないそうです。日本も裁判員制度が採用されましたので、何とも恐ろしい話です。

次に”一番人気の「やや美人」は婚期を逃がす”という話を紹介します。
不美人から美人までを5段階(1 不美人、2 やや不美人、3 普通、4 やや美人、5 美人)に分けてどのレベルの人が一番早く結婚するかを調べた研究があるそうです。(美人のランク付けをどうやったか興味がありますね。)
その結果、結婚が早かったのは、やはり5の美人だった。この結果は予想されたものであったのだが、驚くべきごとにランキング下位が予想された1の不美人も5の美人と同じくらい結婚が早かったのである。
不美人であったとしても、「お前は器量がよくないんだから」と言われて育てられた女性は男性に対して自分なりのストラテジー(戦略)を持っている。愛嬌があったり、やさしかったり、家庭的だったり、料理がうまかったりと、自分は何をウリにして生きていけばいいかがよく分かっているので相手もすぐに見つかるのだ。
次に結婚の早かったのは2と3だった。そして意外なことに、婚期が最も遅れるのが「やや美人」の4。なぜこのような結果になったのだろうか。
これに対する解釈は、口説く男の立場としては美人はハードルが高いため「やや美人」にアタックする男が多くなる。そして、「やや美人」の女性たちは次々とアタックしてくる男がいるので「自分にはもっとふさわしい男性がいるのではないか」と高望みをしてしまう。そして年を重ね経験を積むうちにさらに男性の希望レベルが高くなる。しかし、皮肉なことに自分の女性的な魅力は年とともに減少していくため、だんだんと口説いて来る男たちが減っていく。そして当然男たちの質も下がってくる...。ということなのでしょうね。
これは、知り合いの人たちを思い出してみると、確かになるほどと思いますね。

最後にクレーマーの処理に関してです。
私は大学で心理学の講師をしているが、とある学生のレポートがあまりに不出来だったため、やむを得ず単位を落とした時、その学生からすごいけんまくでクレームをつけられたことがある。
「大学は学位授与機構じゃないですか? その大学が単位を出さないとなると、学位授与機構の体を成していないし、それでは何のために高い授業料を払っているのか分からない」
そう言われて、私はその学生に対して思わず「バーカ」と言ってしまった。(中略)その学生はそれ以上理屈で噛みつくことなく、苦笑いをしながら、少し恥ずかしそうな顔で帰っていった。
あの時、私が理屈で返していたら、きっといつまでも埒の明かない理屈合戦が展開していたことだろう。
どう考えても、クレームをつけた学生はおバカで子どもじみていますが、あの植木先生から「バーカ」と言われた学生の心情を考えると可哀そうになりますね。(^^)

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このブログの目次です。
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フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる心理学好かれる技術―心理学が教える2分の法則 (新潮文庫)シロクマのことだけは考えるな!―人生が急にオモシロくなる心理術 (新潮文庫)男ゴコロ・女ゴコロの謎を解く!恋愛心理学植木理恵のココロをつかんで離さない心理テク (別冊宝島) (別冊宝島 1848 スタディー)たった三回会うだけでその人の本質がわかる (講談社プラスアルファ文庫)人の心がまるごとわかる心理学 (中経の文庫)ウツになりたいという病 (集英社新書)


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Simple

マチャ さん

Nice! ありがとうございます。
ミスドのオールドファッション、私もすきです。
by Simple (2012-03-17 09:25) 

Simple

TBM さん

Nice! ありがとうございます。
量子論、興味深いですよね。
私も「観測問題」には頭を捻っています。(笑)
by Simple (2012-03-17 09:29) 

Simple

mo_co さん

Nice! ありがとうございます。
健康博覧会ってあるんですね。
知りませんでした。
by Simple (2012-03-17 09:33) 

Simple

tsworking さん

Nice! ありがとうございます。
ウォーキングポールって効果があるんですね。
驚きました。
by Simple (2012-03-18 01:08) 

Simple

webtrue さん

Nice! ありがとうございます。
私の世代でも吉本隆明氏は少なからず影響はありましたね。
(私はあまり読まなかったですが)
今の時代に共通の話題として語れるものはなんでしょうね。
by Simple (2012-03-18 09:39) 

Simple

月夜のうずのしゅげ さん

Nice! ありがとうございます。
私も「ダークナイト」は何度もみました。
あのジョーカーは最高ですね。
バックに流れる音楽も不気味でした。
by Simple (2012-03-18 13:53) 

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