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日本の空手界を変えた名著! 「空手バカ一代」を読みなおす [格闘技]


空手バカ一代(1) (講談社漫画文庫)
梶原一騎先生の名著である、「空手バカ一代」を文庫版を購入して30年ぶりに読み直してみました。
この作品は、私が小学生から中学生にかけて少年マガジンに連載されていたもので、当時は夢中になって読んでいたものです。



karabaka.JPG

いや~、やっぱりこれは名著ですね。冒頭から引き込まれていきます。

作品の冒頭がこの一文で始まります。
事実を事実のまま
完全に再現することは
いかに
おもしろおかしい 架空の
物語を生みだすよりも
はるかに困難である ---
(アーネスト・ヘミングウェイ)
小学生だった私は、これを読んで「このマンガに書かれていることは真実なんだ」と頭から信じることになります。


梶原先生は、さらに畳みこんで書きます。
これは事実談であり・・・
この男は実在する!?

この男の一代記を 読者につたえたい一念やみがたいので
アメリカのノーベル賞作家ヘミングウェイのいう「困難」に
あえて挑戦するしかない・・・
わたしたちは 真剣かつ冷静に この男をみつめ ・・・ そして その
価値を 読者に問いたい ・・・ !!

国際空手道連盟・極真会館空手三段 梶原一騎
同 総本部役員・極真会館門下生 つのだじろう

この文に続いて、主人公の大山倍達が米国スパニッシュハーレム街でナイフとピストルを持った5人のギャングを一瞬のうちに倒す話、シカゴの野天競技場で闘牛と戦って牛の角を手刀で折る話が書かれており、その後に梶原先生お得意のコメントが入ります。
ニューヨーク・ギャングとの対決はアメリカで発行されている空手、柔道などの東洋武術の専門雑誌「ブラックベルト」に ・・・
猛牛殺しの記事は、同じく「ブラック・ベルト」および世界的に有名な権威をもつ「ライフ」誌にそれぞれ報じられていた ・・・

この当時は、パソコンもWebもありませんので、「Googleで検索したのですが、見つかりません」などということなく、「大山倍達は本当にすごいんだ!」と純粋に信じていました。(^^)

それまで空手界では相手に当たる直前に突きや蹴りを止める「寸止め」が主流でしたが、この「空手バカ一代」の大ヒットによって、それまで異端とされていた直接打撃制(フルコンタクト)が注目されるようになりました。そして、池袋のちょっと大きな町道場であった極真会館を世界の極真会館に押し上げる原動力となりました。
この「空手バカ一代」から40年を経て現在の空手界を見ると、主流は「寸止め」ではなく、「フルコンタクト空手」に変わっているように思えます。(少なくともメディアレベルでは)
現在も格闘技ブームと言われていますが、この「空手バカ一代」が始まってからすぐ後にブルース・リーの「燃えよドラゴン」が大ヒットし、空手、カンフーが大ブームとなりました。同世代である宮台真司氏も中学、高校と空手をやっていたそうですが、この時のブームは単に空手を見るだけでなく、「自分で空手をやる」というところが違っていたと思います。

さて、この梶原先生の「空手バカ一代」ですが、初期(1~7巻:つのだじろう作画)の頃は、ノンフィクション路線を踏襲していましたが、作画が影丸譲也に変わった後期からは故芦原英幸氏にスポットが当たり、フィクション度が強まってきます。この頃、大山館長は梶原氏に対して「主人公は誰なのか」と不満を漏らしたことがあるそうですが、結果的にこの件も梶原先生と大山館長との関係にヒビを入れる一因になったようです。

「空手バカ一代」を語る時、この梶原先生の創作したフィクションの部分が多いということで、話題になることがありますが、私はまったく問題ないと思います。私自身もそうですが、この「空手バカ一代」がなければ空手の道に入ることもなかったですし、ある意味人生を変えた本とも言えると思います。たとえその内容が事実と違っていることが分かっても、それも含めて梶原先生に「楽しく、納得して騙されていた」と私は考えます。(笑)
極真会館二代目館長である松井章圭氏もこの「空手バカ一代」をTVで見て、極真会館に入門したと自伝で書いています。「華麗なる組手」、「牛若丸」、「天才児」という数々の形容詞を付けられていた松井館長も、この本が無ければ普通の勤め人で終わっていたかもしれません。

最近はあまりマンガを読んでいないので分かりませんが、この「空手バカ一代」のように多くの人の人生に影響を与えた作品ってあるのでしょうか?
梶原ワールドを楽しみたい人には必読の書と言えるでしょう。

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大山倍達については、以下もご覧ください。
・大山倍達と民族運動 「大山倍達正伝」 小島一志、塚本佳子著 を読む その1
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・日本の空手界を変えた名著! 「空手バカ一代」を読みなおす 
・ケンカ道 その”究極の秘技”を探る 篠原勝之著
・空手超バカ一代  石井和義著

このブログの目次です。
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tsworking さん

即Nice! ありがとうございます。(笑)
トーニングシューズは履いたことがありませんが、面白そうですね。
by Simple (2012-05-03 18:59) 

Simple

mo_co さん

Nice! ありがとうございます。
Iくんの富士スピードウェイデビューおめでとうございます。(^^)
私も最近は富士には行っていないですね。
by Simple (2012-05-05 17:10) 

Simple

TBM さん

Nice! ありがとうございます。
シュートボクシングと言えば、シーザー武さんですよね。
by Simple (2012-05-07 22:24) 

Simple

marumaru さん

Nice! ありがとうございます。
巨大なコブシメすごいですね。
by Simple (2012-05-12 20:58) 

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