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専門家の言うことを鵜呑みにするな! 専門家はウソをつく 勝間和代著 を読む [ビジネス]


専門家はウソをつく (小学館新書)専門家はウソをつく(小学館新書)


← 新書版とKindle版です。

最近はKindle本が多かった勝間和代さんの最新刊です。


この本のテーマは、「「専門家」を疑おう」ということです。
いろいろな事柄に関して、
専門家とはいえ、間違うことはある。
相手の言っていることの信頼性はどのくらいだろう
というクリティカルシンキングが重要だということです。要は、専門家と言えども、常に正しいことを言っているわけではないということですね。勝間さんは、何人かのコーチにゴルフのレッスンを受けていろいろと考えることがあったようですが、私も同じような経験をしたことがあります。

私はビヨン・ボルグ(ウィンブルドン5連覇)に憧れて1983年からテニスをやり始めました。(ウィークエンドプレーヤーですが) その当時は、ボルグの影響でトップスピンショットとバックハンドの両手打ちが流行っていましたので、私もそのプレースタイルを目指していました。しかし、どうやって打てば良いのかを教えてくれる本もスクールもほとんどありませんでした。(Webなど無い時代ですから...) なぜかと言うと、テニスのコーチ達が現役だった頃は、フラットショットとバックハンドは片手打ちのスライスショットが主流だったので、彼ら自身がトップスピンも両手打ちもやったことがないからです。そんなコーチ達が正しいショットの打ち方を教えられるわけがありません。
つまり、専門のコーチでも、よほど勉強家でなければ、自分がやったことが無いことは教えられないということだと思います。恐らく、現在の野球のコーチでもイチローの打法を教えられる人は数少ないと思います。

ということは、過去の自分の勉強や経験が生かせない分野は、専門家と言えども必死に勉強しなければ、正しいことを言えないということになります。つまり、勝間さんの指摘するように、経済や医療などリアルタイムで状況が変化するような分野は特にそのような傾向が強くなると思います。
バブル崩壊後のゼロ金利政策、デフレスパイラル、超円高などなど、日本の経済学者たちが過去に経験したことのない日本の経済状況に関して、どれだけ正しい指針やアドバイスをすることができるのでしょうか?
まずは、眉にツバを付けて話を聞くというのが正しい姿勢ということになります。

勝間さんのコメントを良く噛みしめて読みましょう。
しかし、そういった専門知識がメディアを通したり、書籍になった瞬間に
「真実」のように語られ、そして、それを信じてしまう人が多すぎること
すべての専門家が信用できるわけではないし、
また、信用できる専門家でもすべての発言が信用できるわけではない。
これも重要ですね。私たちはある分野で信用できる人の発言は、その他の分野の事に関しても信用してしまう傾向がありますよね。これも注意が必要です。

勝間さんが習ったゴルフのコーチの言葉です。うんちくのある言葉だと思います。
「登山を志して、高尾山に100回登る訓練をしても、
エベレストに登ることはできない」
テニスで言うと、「毎週草トーナメントに出場しても、ウィンブルドンで優勝することはできない」ということでしょうね。求められるスキルとレベルがまったく違うということだと思います。

勝間さんが考える「信頼性の高い専門家を見抜くための9か条は、
第1条 詳しくない分野は、複数の詳しい人、およびネットに必ず当ること
第2条 専門家の実績を「経歴」だけでなく「エビデンス」「信頼できる他者評価」で把握すること
第3条 専門家のアドバイスの裏をとる癖をつけること
第4条 過剰な自信を持っている「専門家」は警戒すること
第5条 自分の専門分野から、言われていることを類推する癖をつけること
第6条 PDCAサイクルをしっかり回している相手であり、過度に「根性論」「鍛練論」に終始しないか、気をつけること
第7条 相手の専門性に「市場性」があるかどうかを確かめること
第8条 どんな専門分野でも、少なくとも3人の専門家にアプローチせよ
第9条 誰を信じるかは、最後は自己責任、それが失敗しても、学びとすること

この中で一番共感したのが、第4条です。私の好きな美術品の世界は、故意に造った贋作も含めて真贋入り乱れた非常にアヤシイ世界で、ほとんど科学的な判断が難しい分野だと思います。(絵具や陶磁器の分析はできても、本人が亡くなってからその作品を作家本人が作ったことを証明することは、まずできません)
それにもかかわらず、「乾山がこんな作品を作るわけがない」とか「こんな画を佐伯祐三が描くわけがない」などと妙に自信をもって断定する人たちが多くいます。こんな発言を見ると「あんた、本人に会ったことあるのか?」とつっこみを入れたくなります。一番身近にいる妻や子供たちでさえ、自分の知らないことがあるのに、会ったことのない作家に関して確信を持てる客観的な証拠などあるはずがない、と私は考えます。
(実際には、ここまではある程度確からしいので真作としましょうという業界の合意に基づいて真贋の判断は決めていますが、それと本当の真贋はイコールではないという意味です)

とにかく、「専門家を疑え」というスタンスには大いに共感します。
多くの人に読んで欲しい一冊です。

このブログの目次です。
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17-1
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Simple

mo_co さん

Nice! ありがとうございます。
記念すべき1,000 Nice です!! (やっとです...。(笑))
いつもいつもありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
by Simple (2013-10-27 21:02) 

安井美由紀

ええ、専門家はウソをつくとは言われてみないとわからないですね。考えさせました。
by 安井美由紀 (2013-11-03 05:44) 

Simple

安井美由紀 さん

コメントありがとうございます。
専門家の言うことを鵜呑みにしないということが重要だと思います。
by Simple (2013-11-03 09:28) 

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