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英国人記者から見た日本 「連合国戦勝史観の虚妄」 ヘンリー・S・ストークス著を読む [社会]

英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄(祥伝社新書)
この本は、英国人記者であるストークス氏の視点で戦後の日本を見たものです。英国人の視点がとても新鮮です。
ヘンリー・S・ストークス氏は、1938年英国生まれ、61年オックスフォード大学修士課程修了後、62年ファイナンシャル・タイムズに入社。64年東京支局初代支局長、67年ザ・タイムズ東京支局長、78年ニューヨーク・タイムズ東京支局長を歴任。三島由紀夫と最も親しかった外国人記者として知られています。

私もストークス氏は、三島由紀夫の関連で名前を知りました。三島は自決した後、生前関連のあった人の所に霊として頻繁に現れたそうですが、ストークス氏の所にも現れたそうです。その時、「ストークスはシャベルで亡霊を殴りつけた」ということを知ってへ~っと思ったものでした。(笑)

イギリスで生れ育った私は、幼少のころから日本人は野蛮で残酷な民族であると、さんざん聞かされていた。ちょうど当時の日本人が「鬼畜米英」と聞かされていたのと同じことだ。戦後になっても、日本のおかげでアジアの植民地をすべて失ったイギリスの、日本に対する憎悪の感情は消えるばかりか、強まるばかりだった。そんな環境の中で、私の中にも、日本を憎む気持ちが、ごく自然に醸成されていた。
日本は、大東亜戦争で、その当時アジアを侵略して植民地にしていた英、仏、オランダなどの連合国軍と戦い、勝利して植民地から追い出しました。現在の良識で考えると、米英の国々がアジアの国々を侵略して植民地にしていた事自体が悪いことでなのですから、日本は良いことをしたと思っていました。しかし、ストークス氏が書くように、アジアの植民地を奪われた英国はそのことによって日本は憎悪の対象となっていたのですね。やはり米英の人たちは基本的にアジア人など同じ人間とは思っていないのでしょうね。

大東亜戦争は、日本の自衛のための戦いだった。それは戦後マッカーサーがアメリカに戻って議会で証言した「マッカーサー証言」によっても明らかだ。東京裁判は裁判の名にも値しない、無法の復讐劇だった。「南京大虐殺」にしても、信用できる証言は何一つとしてなく、そればかりか中国が外国人記者や企業人を使って世界に発信した謀略宣伝(プロパガンダ)であることが明らかになっている。「慰安婦問題」については論じるにも値しない。(中略)
もう一つ私が声を大にして言いたいのは、「南京」にせよ「靖国参拝問題」にせよ「慰安婦問題」にせよ、現在懸案になっている問題のほとんどは、日本人の側から中国や韓国に嗾けて、問題にしてもらったのが事実だということだ。この問題をどうするか、それは日本人が自分で考えなければならない。
ストークス氏は、現在、国際社会で「南京大虐殺はなかった」と言えば、もうその人は相手にされない状況となるという事実も指摘しています。氏の指摘するように、朝日新聞のように中国や韓国にお伺いを立てるような反日本的なマスコミや個人の活動に対して、世界的に失なった信用をどうやって回復するかが重要な課題ですね。

私は最近、ウインストン・チャーチルが妻のウイトニーとやりとりをした書簡を、読む機会があった。
日本人についてさまざまなエピソードを書いているが、許容範囲を逸脱した差別的表現で、日本人を侮蔑している。イギリス人からそのような醜い言葉が発せられたのを、耳にしたことはない。罵詈雑言というか、これでもかと貶める表現を使っていた。(中略) 数百年にわたって栄華を極めた大英帝国 - 日が沈むことがなと形容された - その版図があろうことか東洋の黄色い小人によって、一瞬にして崩壊させられてしまったという悔しさと、怒りがあったのだ。

英国に限らず、米英の人たちの根底には、日本人などアジア人に対する差別的感情があるのだと思います。何度も映画になっている「猿の惑星」は、日本人がモデルであることは有名な話です。米英人には、日本人があの映画の猿のように見えているというのが良く分かります。

ストークス氏の本で面白いのは、英国人である彼はアメリカ人に対して非常に許しがたい感情を持っていると感じる部分です。
マッカーサーは皇居を見下ろすこの建物に、総司令部を構えた。マッカーサーはすべてを、まるでドラマの場面のように演じた。自尊心の自家中毒によって病んでいた人間だった。(中略) しかし、私が受け入れ難いのは、その傲慢な態度だ。(中略)マッカーサーは、単に日本人への復讐や、アジアへの見せしめに加えて、世界へアメリカの正義を発信しようと、「東京裁判」という芝居を上演したのだ。
ストークス氏が幼稚園の頃に、彼の故郷であるのどかな田舎町に米軍の戦車が10台くらいやってきて子供達にチューインガムを放り投げた光景が、彼の心の底にあるそうです。それにしても、戦後の日本の「ギブ・ミー・チョコレート」のようなことが、戦時中の英国でもあったとは驚きですね。その時、ストークス氏は「アメリカの戦車を見て、本能的にアメリカ軍がわれわれの国を支配するようになるのだ」と感じたそうです。

さて、最後にこのブログでも何度か取り上げている白州次郎に関しての記載です。
俺はボランティアではない」というのが口癖で、金儲けに眼がなく、英国企業の日本進出を手助けし、成約金の五パーセントをロンドンの口座に振り込ませていた。生涯、豪奢な生活をした背景に、こうした手数料収入があった。
私は白州が傲慢で威張ってばかりいたから、好きにはなれなかった。自己顕示欲が強くて、いつも自慢話を言いふらしていた。(中略)
次郎は映画俳優のように男前で、流暢なイギリス英語を、反り返って、まるで人を見下すように話した。自分が関心を持たない人物がそばに来ると、無視するようにそっぽを向いて、無礼な態度をとった。それでも、イギリス人の友人たちが、次郎の博覧強記ぶりは驚嘆に値すると、語っていた。
ストークス氏は、マッカーサーや白州次郎など、傲慢な人間が大嫌いなようですね。(^^) ストークス氏は、「GHQに「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた、と自慢していた」と書いていますので、やはりこれは白州氏のホラ話、いや自慢話(笑)と考えた方が良いようですね。(http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2014-03-16

いろいろな意味で、非常に面白い本です。
みなさんにもぜひぜひ一読をお勧めします。

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このブログの目次です。
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17-1



なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)

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