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南北朝の抗争を描く、漫画 「太平記」 横山まさみち著を読む。 [社会]


太平記(一) 楠木正成 笠置の巻
みなさんは、「太平記」をご存じでしょうか?
はずかしながら、私は題名はよく聞くものの内容は全く知りませんでした。
時代的には、1320年~1370年までの話で北条氏の鎌倉時代末期から建武の新政、足利尊氏による室町幕府成立頃の話で、南北朝の争乱を描いた作品です。



太平記(二) 楠木正成 千早の巻
私は歴史は好きで、歴史関連の本をよく読みますが、振り返ってみるとこの時代に関してはほとんど知識が無いことが分かりました。後醍醐天皇、楠木正成、足利尊氏、新田義貞などの人物に関しても日本史の教科書で名前を習っただけの知識しかありません。
ですので、それぞれの人物についてまったくイメージも湧かない状態でした。



太平記(三) 足利尊氏 六波羅の巻
その理由を考えてみると、司馬遼太郎の小説にこの時代に関して書いたものが無かったからのようです。(笑)
源頼朝、義経の鎌倉幕府成立や斎藤道三から始まり織田信長、豊臣秀吉、徳川家康による天下統一、新選組、坂本龍馬、高杉晋作などの幕末、明治維新などは、私も繰り返し読んでいましたので、とても馴染みがありますが、太平記の時代がすっぽりと抜け落ちています。見事に「司馬史観」に洗脳されていますね。(笑)
ちなみに、司馬遼太郎が「太平記」の時代を書かなかったのは、単に「自分の美学に合わない」ことが理由のようです。

太平記(四) 足利尊氏 室町の巻

作者の横山まさみち氏は、歴史ものの漫画が多い方のようですが、「鉄人28号」や「バビル2世」の作者である横山光輝氏とは関連はありません。
さて、この横山まさみち氏の「太平記」ですが、全6巻で、それぞれ2巻ずつ楠木正成、足利尊氏、新田義貞に焦点を当てて描かれています。それぞれの人物を通して、違う視点から歴史の流れが描かれていて面白いです。



太平記(五) 新田義貞 鎌倉の巻
実は、最近の落合先生の一連の著書に書かれている、南北朝に関する記載、特に後醍醐天皇の息子で重要人物の大塔宮護良親王(おおとうのみやもりながしんのう)に関してもほとんど知識がありませんでした。戦前に教育を受けた方などは、この辺りの歴史は当たり前のように刷り込まれているのでしょうが、私たちの世代は、ほとんど知識がないと思います。



太平記(六) 新田義貞 燈明寺畷の巻

この横山氏の「太平記」を読むことで、南北朝時代の動乱、大塔宮の位置づけが理解でき、楠木正成の活躍、足利尊氏と新田義貞の確執など、いくつものドラマが楽しめます。
源頼朝、徳川家康などが就いた「征夷大将軍」という役職ですが、あくまでも天皇から任命されるものであり、その頂点には天皇が存在することが、この本を読むと実感します。足利尊氏は、後醍醐天皇(南朝)と戦う時には
北朝の天皇を担いで戦うことで、自分が「朝敵」になることを回避しつつ、自分の実権を拡大させていきました。
そして、国民の事を考えない人が頂点に立って政治をしてはいけないな~ということを再認識しました。

足利尊氏が下野国(しもつけのくに:栃木県)、新田義貞が上野国(こうずけのくに:群馬県)出身の武士であることも、埼玉県人としては親しみを覚えます。(^^) 特に、私がよく通っている栃木県佐野市の隣にある足利市が足利尊氏とゆかりがあるとは知りませんでした。次回は、足利の街を探索してみようと思います。
横山氏の描き方もあると思いますが、個人的には足利尊氏よりは新田義貞の方が好きですね。

南北朝問題に興味がある方にはお勧めの本です。

このブログの目次です。
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17-1
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