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三島由紀夫は作家であり劇作家だ!「三島由紀夫VS東大全共闘」を観る [映画]

6月の始め、映画館が再開なので、「Fukushima50」、「三島由紀夫VS東大全共闘」の2本をまとめて見てきました。このご時世ですので、この2本の映画が次の週末までやっているかどうか不安だったからです。(^^

6月になって再開した初めての土曜日ですが、お客さんが少ないです。ホールにほとんど人がいません。コロナ対策で、手指のアルコール消毒、座席は一人おき、映画鑑賞時は飲食時以外はマスク着用必須。

「Fukushima50」は、寂しい事にお客さんは2人だけでした。「三島由紀夫VS東大全共闘」の上映場所は午後に同じスクリーンです。事前に同じ席を予約しておきましたが、当然入れ替えがあるのでいったんは外に出なくてはなりません。(笑)

午後、改めて第8スクリーンに入ると三島由紀夫の映画の方は、意外な事に20人以上入っていました。ほとんどが私以上の団塊の世代と思われる年齢層の人たちでしたが…。

私は学生時代には三島の本ばかり読んでいて、この東大全共闘との討論もテープ音声を買って聞いていました。ですので、こんな映画を作られたら個人的には観に行くしかありません。(笑)
とは言え、今はYouTubeで当時の映像を見られますので、その動画に対してどの程度プラスアルファが出せるかが重要だと思って観ました。

結論から言うと、それほどプラスアルファはありませんでした。
「三島由紀夫VS東大全共闘」と題していますが、実際には東大生のほとんどは基本的に三島をリスペクトしていてまったく対決ムードではありません。主催者の東大生は、思わず「三島先生」と言ってしまったくらいです。(三島さんも爆笑)

三島は自分の意見を頭ごなしに被せたりせずに東大生の観念的な議論に耳を傾けて丁寧に付き合っているという雰囲気です。これはなかなかできない事だと思います。

ただ一人、途中で参加した赤ちゃんを抱いた芥正彦氏(俳優、劇作家、演出家、劇団ホモフィクタス主宰者)だけが別格で三島と対等に議論していました。何が違うかというと、他の東大生のように三島に対するリスペクトはほとんどありません。三島と対等か自分の方が上だというスタンスで議論を行っている印象です。

三島も彼の意見を尊重して真剣に議論しています。この討論の1年半後に三島は自衛隊で自決することになりますが、いろいろな人が三島の行動に対するコメントを述べていましたが、芥氏が一番三島の事を理解していたと感じました。やはり三島と同じ劇作家、演出家という視点で見ているからでしょうね。

多くの人たちが三島の晩年の言動に惑わされていますが、基本的に彼は作家ですし、劇作家でもあります。その彼が自分の人生の幕引きに対していかに綿密にシナリオを書き、舞台設定を行い、そして役者として役を演じたか、という視点が大切だと思います。おそらくずい分と前から最後は切腹で終わりという事は決めていたのでしょうし、いかにそこまで持って行くかを考えたと思います。当然、この東大全共闘との討論もそのシナリオの重要なピースの一つだと思います。
芥氏はそれを見抜いていたと感じました。
三島のシナリオの中には当然ノーベル文学賞を受賞する事は重要なアイテムとして入っていたと思いますが、これは残念ながらかないませんでした。このショックは大きかったでしょうね~。
(興味ある方は、「新潮社社員にノーべル文学賞を!(^^) 真説 三島由紀夫 板坂剛著 を読む」:https://simple-art-book.blog.ss-blog.jp/2011-12-31

もうほとんど上映している映画館がなくなりましたが、興味ある方はDVDなどでご覧になってはいかがでしょうか?

【追記】
もし、最期の市ヶ谷の自衛隊で隊員たちが三島のアジテーションに賛同して決起したらどうなっていたでしょうか? きっと三島は困ったでしょうね~。だって三島が切腹する理由がなくなってしまいますから。
などと妄想が膨らみます。

このブログの目次です。
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17-1
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