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邪馬台国の卑弥呼は天照大神だ!「逆説の日本史」1 古代黎明編 井沢元彦著 を読む [歴史の真実・陰謀論]


逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された「倭」の謎 (小学館文庫)

この「逆説の日本史」シリーズはすでに20年以上連載が続いており、井沢元彦氏のライフワークとも言えるものです。

井沢氏は、早稲田大学法学部を卒業後、TBSで報道記者を経て、「猿丸幻視行」で江戸川乱歩賞を受賞し、それ以降作家活動に入りました。私は、初期の作品から好きで読んでいました。この「逆説に日本史」は、目からウロコという内容が多いためとても参考になる本だと思います。

なぜ歴史に関しては素人である井沢氏が、このような日本史シリーズを書き始めたかと言うと、現在の日本史学界には、大きな欠陥があるからだと言います。
①日本史の呪術的側面の無視ないし軽視
②滑稽ともいうべき史料至上主義
③権威主義
これらがある限り、素人である井沢氏にも日本史に対して主張すべきことがたくさんあると考えています。特に「井沢史観」の重要なポイントは、「怨霊」です。無念の死を遂げた者は祟りをなすので、鎮魂しなければならない。古代の人々はその怨霊を恐れて様々な手段を用いて怨霊の鎮魂を行ってきました。
しかし、日本の歴史学界は、怨霊信仰は平安時代までは無かったと考えているそうです。その理由は、文献にそのような記載がないからだそうです。文献に記載のないものは存在しないというロジックだそうです。(^^)

さて、この本の中で興味深い内容を紹介します。
1.「和」について
・「和」は日本人のアイデンティティーである。
・聖徳太子の十七条憲法をみると、仏教よりも天皇よりも「和」を重視している。
第一条:「和を以って貴しと為す」(和)
第二条:「篤く三宝を敬え、三宝とは仏法僧なり」(仏教)
第三条:「詔(天皇の命令)を承りては必ず謹め。君は天なり。臣は地なり。」(天皇)

2. 大国主命(オオクニヌシノミコト)について
・神話では、話し合いによって天照大神(アマテラスオオミカミ)に「国譲り」を行ったことになっている大国主命は、実際には恨みを持って死んだ。(あるいは殺された)
⇒ そのために天照大神は出雲大社という巨大な神殿を建て、自分の次男を出雲国造として土着させて神官としてオオクニヌシを鎮魂した。(昨年、高円宮典子女王が出雲国造(いずもこくそう)の家系である千家国麿さんと結婚されました。天皇家は、万世一系と言われていますが何度か王朝が変わったという説もありますので、千家氏の方がアマテラスの血統を引き継いでいる可能性もありますね。(私見))
⇒ その当時、出雲大社は高さ48mあり日本最大あった。(96mと言う説もあり)自分が滅ぼした先住民の王の神殿が一番大きいことは日本以外ではありえないことである。
・出雲大社に祀られている大国主は、参拝者に対して横を向いて配置されており、参拝者は御客座五神という天照大神系の神々を拝んでいることになる。(これは大国主を参拝させたくないために意図的に配置している)
・御客座五神は、大国主が死の世界から出て来ないように監視している。
・大社名物の巨大な注連縄は、通常と正反対の右上位(右から綯始めている)であり、これは死者の着物を「左前」にするのと同じである。
・通常の神社は、「二礼、二拍手、一拝」であるが、出雲大社は「二礼、四拍手、一拝」である。これは、「四」=「死」であり、大国主が死の世界から出ないようにしているからである。

3.卑弥呼について
・「卑弥呼」は女王の名前ではなく、「日御子」か「日巫女」である。
⇒ 古代において王者の名前を口に出すことはタブーであったので、中国の使者に女王の名を伝えることはあり得ない。
・邪馬台は、古代中国の発音では「ヤマト」に近い発音である。
・卑弥呼は、太陽神であり、248年に起こった皆既日食が原因で殺された。(古代においては、霊力の衰えた王を殺し、新たに霊力のある王を立てることが多い)
⇒ それが天照大神の「岩戸隠れ」の神話になった。卑弥呼 = 天照大神 である。
・「宇佐八幡神託事件」の時に和気清麻呂は、伊勢神宮ではなく宇佐八幡宮に行っており、天皇家にとって、祖先神は宇佐八幡であったと考えるしかない。(明治天皇以前には天皇の伊勢神宮の参拝はなかったそうです)
・宇佐八幡は、神社の一之御殿:応神天皇、二之御殿:比売大神、三之御殿:神功皇后(応神天皇の母)とされているが、実際の配置をみると「比売大神」が主祭神である
・宇佐八幡も出雲大社と同様に「二礼、四拍手、一拝」の拝礼作法である。この作法は、全国でもこの2社だけである。
宇佐八幡宮は殺された卑弥呼を祀った神社であり、比売大神卑弥呼 である。
・卑弥呼を神格化したものが天照大神で、それを祀ったのが伊勢神宮であり、卑弥呼の遺体を祀ったのが宇佐八幡である。

というような、非常に興味深い内容が書かれています。
古代史に興味がある方には必読の書です。

このブログの目次です。
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Unkown

前にこの井沢さんの本を読んだことが有ります。ですが卑弥呼を天照大神に比定する根拠があまり有力とは思えないんですね。歴代中国史書を読み継いでいくと、日本は統一された国家ではなかったことが明白です。また、中国史書に現れる倭国王らと古代天皇家の人々とは全く対応しません。逆に日本書紀は歴史の勝者が書いた史書です。数多の偽装、剽窃記事が満載です。古代史は奥が深いですよ。
by Unkown (2015-11-10 12:17) 

Simple

Unkown さん

コメントありがとうございます。
私は、天照大神の「岩戸隠れ」の神話と日食と卑弥呼死の結びつきに異和感はありませんでした。まあ、人それぞれ信じるものは違って良いと思います。
Unkown さんは、中国史書を信じておられるようですが、中国史書も勝者の書いた史書ではありませんか? 私は、お隣の国は現代に於いても歴史の捏造とプロパガンダを行う国だと思っていますので、中国史書は参考にはしても正確な記載だとは考えません。
あと一点、剽窃記事って何でしょうね。 日本書紀の時代に著作権はないし、人の書をCut & Pasteしてはいけないという考えがあったのでしょうか?(少なくとも一書に曰くなどの出典は書いていたと思いますが)
by Simple (2015-11-10 21:11) 

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