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日本人はものを考えなくなったのではないか? 「知の衰退」からいかに脱出するか? 大前研一著 を読む [社会]

大前研一氏の本です。

「知の衰退」からいかに脱出するか?
お恥ずかしい話ですが、私は氏の本をほとんど読んだことがなかったため、この本にはかなりの衝撃を受けました。(これはまずいと思い、すぐに氏の本を10冊くらい買い込んできて一気に読みましたが...(笑))
この本は、現在日本でおこっているさまざまな事を「集団知」という切り口で読みといているもので、多くの示唆を受けました。



ポイントは、「日本人はものを考えなくなったのではないか?」ということです。
●集団としての日本人の知能は著しく低下している ⇒ 「知の衰退」が見られる
・分数ができない大学生の増加、小中学生の学力低下
⇒ 世界最高水準と信じられた日本の初等、中等教育の崩壊
・「下流社会」の拡大
⇒ 若者が仕事や勉強に意欲を欠いている、自分の身の回り半径3m以内のことしか興味がない
・大人たちも同様に考えていない
⇒ 中国製冷凍ギョーザから農薬が検出されると検証もせずに中国食材が食卓やスーパーから消える
・政治の停滞は集団知の衰退を象徴している
⇒ 小泉自民を大勝させた同じ人たちが民主党を大勝させている

大前氏は、今の日本はバブル崩壊以降、世界の誰からも尊敬されない代わりに文句も言われない「無風状態の国」になった、今の日本の経済は一流ではないと喝破します。
●武器は頭脳
・現代の日本には緊張感がまったくない
⇒ 政府も地方自治体も個人もたるみきっている
⇒ バブル経済崩壊からぬるま湯につかっていたため
・バブルの後、世界の誰からも尊敬されない代わりに文句も言われない「無風状態の国」になった
⇒ バブル崩壊前は日本社会は考える人間の集団であり活力があった
⇒ 今の日本の経済は一流ではない

現状、日本の集団としてのIQは最低であると主張します。逆に集団IQが高い国としてシンガポールをあげています。私は知らなかったのですが、シンガポールの一人あたりのGDPは2008年に日本を抜いたそうです。日本は人口が多い分だけ全体のGDPが高いだけということになりますね。
●日本は「集団IQ」が世界でも最低な国
・バブル経済以降日本人の集団IQは低下している
・シンガポールは集団IQが抜群に高い
2008年に一人あたりGDPで日本を抜いた
・サイバー化したグローバル世界では「勝ち組」が国境を超えて「負け組」から富を奪いとる

・耐震偽装、食品偽装、外資の日本企業買収などを規制強化することが不況の原因になっています。確かに偽装は問題ですが、それによって建築費が上がる、建物が建たなくなる、食品のコストが上がるなどの不況の原因になったということです。これを大前氏は「官製不況」と名づけています。要は問題に対する施策の得失をきちんと自分の頭で考えて対応すべきだということです。例えば食品の産地偽装など昔から役人たちも加担してルールを変えていたそうです。

・マレーシア産うなぎを浜名湖で1週間泳がせたら浜名湖産のウナギになる
・北朝鮮のアサリが日本の砂浜で1ヶ月眠ったら国産アサリになる


これなどは、家庭の主婦たちが国産品にこだわるためにされていることです。国産品と輸入品の違いを本当に分かる人がいるのか? それによって価格が上げられていても良いのか?
「産地地球」と考えるくらいでちょうど良い。
官製不況
①耐震偽装 ⇒ 規制強化 ⇒ 建物の建築が遅延 ⇒ 倒産する会社が増える
②日本企業の買収を官僚が規制する ⇒ 外国人投資家が日本企業に投資しなくなる ⇒ 株価が下がる
③食品偽装 ⇒ 規制強化 ⇒ 食品のコストが上がる

さらに株価の低迷に関しても、日本企業は多くの外国企業を買収したりしているにも関わらず、日本企業が買収されそうになると制約を加えるような日本市場の閉鎖性が外国人投資家が日本から離れる原因になっていると指摘します。大前氏は、日本企業の株価は、外国人投資家が居なくなれば上限12,000円程度だろうと言います。
●日本株一人負け
・世界を見渡すと世界中の株が下がっているわけではない
・これまで外国人投資家が日本の株価を上げていた
・政治家や役人はそれを日本の実力と勘違いした
・日本人だけであれば12,000円が上限

最後に、大前氏は日本人の投資マインドのなさを指摘します。なぜ、何の疑問もなく金利の低い銀行預金や郵便局に自分の資産を預けているのか? 「もしもの時のために」と考えてせっせと貯金して平均3,500万円の金を持って死んでいくのが日本人だということは初めて知りました。
また、ゼロ金利というは私たちの利子所得を金融機関や企業の不良債権の処理のために使われたということも知りませんでした。もしゼロ金利にせずに増税して不良債権処理のために税金で対応しますと言えば当然大反対するでしょうが、ゼロ金利政策はそれを国民が気付かないように行ったということです。
このように自分がたちが自分の頭で考えないと頭の良い人たちに自分たちの資産を持って行かれることになるのですね。恥ずかしい話ですが、本当に「目から鱗」が落ちたような気持ちです。
●ゼロ金利でも銀行に預け続ける国民
・あなたは金利が0.1%の銀行と5%の銀行のどちらに預金しますか?
⇒ 世界中でただ一国0.1%の銀行に預ける国民がいる
・1991年の金利水準が今も続いていたとしたら、家計から失われた利子所得は283兆円
ゼロ金利は私たちがもらうべきお金で金融機関、企業にの不良債権処理がされただけ
・日本人は死ぬまで貯蓄を行い平均3,500万円残して死ぬ
⇒ 死ぬ前が一番金持ちであるが、相続税があるので子孫には残せない

皆さんもぜひ、ご一読することをお勧めします!!



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偽善エコロジー 「環境生活」が地球を破壊する  武田邦彦著 を読む [社会]

現在流行のエコロジーに関する本です。著者は、中部大学総合工学研究所教授の武田邦彦氏です。武田氏はTVにもよく出演されてエコに関して話をされているのでご存じの方も多いかと思います。
偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)








この本の中で、武田氏は「レジ袋を使わない」、「割りばしは使わない」、「ペットボトルのリサイクル」、「牛乳パックのリサイクル」などの環境運動は意味がないと主張しています。
例えば、「レジ袋を使わない」に関しては、
 ・レジ袋は石油の不必要な成分を活用したものである。
 ・逆にエコバックを作るために他に用途の多い貴重なBTX成分を使用する。
 ・レジ袋を追放しても環境改善には効果が薄い。
と書かれています。本に書かれた内容を読むとなるほど、と納得させられる内容です。武田氏としては本当はもっと厳しい表現で書きたいのでしょうが、感情を抑えた節度のある表現をされています。

私も現在は単身赴任なのでよくスーパーに行くのですが、いつの間にかレジ袋が廃止されて有料(3円)になっており、納得が行かないな~と思っていました。消費者としては、レジ袋を買うか、さらに高いエコバックを買うしか選択肢がないのですから、これに環境改善効果がないとすれば、単にスーパーが儲かっているだけということになります。

また、ゴミの回収が有料になりましたが、その時に古いゴミ袋を使用できないと知って愕然としました。買ったばかりの大量のゴミ袋は使用できないため、本当にゴミとして捨てるしかありません。これで本当に環境にやさしいのか?と思ったのは私だけではないと思います。

以前、TVや新聞で大々的に問題となったダイオキシンも危なくないと書かれていて、これもショックでした。武田氏は、毒性が騒がれているが、日本で一番ダイオキシンが多かった1970年から現在まで、これによる患者は出ていないとのことで、これにもビックリです。

ただし、武田氏の説に対しては科学的に不正確な点や誤謬、根拠としているデータが捏造であるとの批判があるようです。
私は、水道橋博士宮崎哲弥氏の「博士も知らないニッポンのウラ」のゲストとして武田氏と「と学会」会長の山本弘氏が出て環境問題に関して議論したのを見ましたが、私の判定では武田氏の圧勝でした。山本氏は「と学会」らしく、調査能力を駆使して多くの資料引き合いに出していましたが、それに対しても武田氏は冷静に反論していました。データの捏造と言われているものも、「データを出してくれないため、しょうがないので公開データから自分で計算をした」というのが多いようです。

まあこれは私の個人的な意見ですので、武田氏の主張に関してはみなさん御自分で判断して頂きたいと思います。
ただし、環境問題には武田氏が指摘されているように、それをお金に結びつけようとしている人が多くいることは事実だと思います。「環境にいい」、「エコロジーだ!」という言葉が錦の御旗になって、反論できない状況はまずいと思います。

ちなみに最近、プリウスの燃費が良いのでエコのために、現在乗っているFitから買い替えようと思って計算してみました。
私は、年間4万キロ位走る(ほとんど高速道路)ので、レギュラーガソリンを110円/lとして、

Fitの燃費15km/l ⇒ (40,000/15)× 110 = 293,333円
プリウスの燃費を30km/l とすると、(実際にはそんなに走らないと思いますが…。)
               (40,000/30)× 110 = 146,666円

つまり、年間15万円位しか節約できないということになります。(普通に年間1万キロくらいしか走らないと、その差額は年間4万円にも満たないわけです)
これでは全然、200万円以上出費して車を買い替える理由にはなりません。それでも10年走ると150万円だと言うことになりますが、その時は40万キロも走っていなければならなりません。
つまり、買い替えた方が安いというのは、奥さんを説得する時にしか使えない理由なわけです。(笑)

みなさん、「エコタイプに買い換えましょう!」という甘い言葉に注意しましょう。







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