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ほんとに 彼らが日本を滅ぼす 佐々淳行著 を読む [社会]


ほんとに、彼らが日本を滅ぼす
以前から本屋で見かけていましたが、前著「彼らが日本を滅ぼす」の増版だと思っていました。佐々さんの本、売れているんだな~と思っていました。が、「ほんとに」が追加された続編でした。(笑)




前著でも現在の民主党の菅政権をボロクソに批判していましたが、今回もさらに批判が強まっています。
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2011-02-23
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2011-02-27
また、佐々氏は前著で「日本の危機的状況は、トップが危機管理宰相ではないときに起こる」と指摘していましたが、残念ながら東日本大震災、大津波、福島原発事故と見事に的中してしまいました。

佐々氏は、この本でも民主党の総理大臣をバッサリと切り捨てています。
鳩山氏を「宇宙人」とすれば、菅氏は冥府魔界から人間界に這い出してきた魑魅魍魎の地底人の妖怪の類だ。ウソをいい、人を裏切り、人を欺し、自己愛と総理の椅子に一日でも長くしがみつくこと自体が(手段ではなく)目的のエゴイストで、国家観も社会正義感もない。日本人の道徳律「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」のすべてを欠く。その人格は論評のしようがない程低劣、妖怪としかいいようのない恥知らずである。

また、佐々氏は、東電のトップにもあきれ果てています。
その数日後、海江田経済産業相がテレビで「(会長と社長は)五十%カットしても3600万円残る。ちょっとおかしい。もっと努力してくださいと言った」と暴露して、大騒ぎになった。事故がなければ、7200万円もの報酬を得ていたことになる。(中略)
もし東電役員が「儲かっていたのだし、規定があるのだから当然じゃないか」と考えているのなら、大変な了見違いだ。生活にも産業にも不可欠な電力を安定供給するために、独占が認められているのである。その公共性が高い企業のトップが、巨額の報酬を当然のことのように受け取っていたことに私は驚倒した。
福島原発で放射線の危険にさらされながら、注水作業や瓦礫の撤去作業に身を挺していた自衛隊員の多くは、年棒にして300万円ほどだろう。公共性のある仕事は、得てして薄給である。だが、薄給であっても、国民生活のために任務を完遂するという矜持がある。
そして、例の一号機の海水注水を官邸の指示で55分間中断したかどうかの問題です。
真水が切れて海水注水の許可申請が現場(吉田所長)からあったことに対して、東電本社は注入を許可しました。これに対して、菅総理が「そんなこと聞いていない」と激怒し官邸は、海水の注入の中止を命じ、55分間の冷却注水が止まることになりました。(後に菅総理は注水中止の指示をしたことを否定)
しかし、実際には、現場の吉田所長の判断の海水の注水は継続して行っていたことが分かりました。

これに対して佐々氏は、「菅直人総理の鼻息ばかりうかがい、明確な指揮命令ではなく、雰囲気、空気をうかがう誤った判断により現場で働く部下たちのいのちにかかわる重大な命令を勝手にだすなど論外である。処罰されるべきは、吉田所長ではなく、武藤副社長だ」と一刀両断しています。
佐々氏は、「現場を知らない上層部のムチャな命令は、現場に在る指揮官は、自己責任において、組織のため、現場の部下のため、いや、その誤った命令を出した上司のために、握り潰すぐらいに度胸がなければいけない。」と主張します。
これと同じようなことを天外伺郎氏も「マネジメント革命」で、
・ダメ上司をすぐれた部下がカバーする
・「やり過ごし」、「尻ぬぐい」こそが日本企業の強さの秘密
ということを主張されています。日本社会の良さがそこにあったのでしょうね。

佐々氏が警視庁の警備課長だったころの話です。早稲田大学の封鎖解除警備の時、大隈講堂を攻めた機動隊の隊員が、屋上からゲバ学生に突き落とされたそうです。幸い隊員はレスリングの選手だったため、一命はとりとめましたが、全身打撲、四肢骨折の重傷を負いました。(普通の人だったら即死だったでしょう)
これを聞いた猛将、秦野総監は激怒し、警備無線で「屋上の学生たちを五体満足で逮捕するな、手足をおっぺしょれ」という、世にも凄まじい命令を発したのである。早大講内の多重無線指揮車でこれを受令した警備部長は、「佐々君、ちょっと外へ」。
「どうする? そんなことはできんぞ」
「もちろんです。部長は、課長にその旨指示したと総監に言ってください。私は命令伝達のため荒れている現場で八機村松完一隊長を探しましたがみつかりませんでしたと言いますから」
こうやって私は、総監の命令を握り潰した。
屋上での検挙活動を終え、報告のため桜田門に引き返すと、警視庁は大変なことになっていた。警備通信を傍受していた(違法なのだが)警視庁の記者クラブがクラブ総会を開いて、秦野総監と警備部長の吊るし上げ大会となっていたのだ。
「本日の早大警備では、学生重傷者多数、とくに手足の折れたのが多く、救急車のサイレン鳴りやまずとのこと。それは総監の命令とのことだが事実か」(カマかけたハッタリ。よくこういうワナを記者たちはかけてくる) 豪気の秦野総監も流石に色を失って、
「そんなことはない、そんなこと、あるわけない。なあ、警備部長」
・・・・そこに帰ってきた佐々氏が現場の状況を正確に報告したことで、記者達は黙ってしまいます・・・・
秦野総監は、満面に笑みを浮かべて、
「ほうれ、みろ。警視庁がそんなことをやるわけないってオレ、言ったろ? オレがそんな命令するわけ、ねえーやな」
と大威張り。
(本書 P128)
どこにもよくいますよね。こんな上司!(笑)

この本、非常に面白く、ためになるのですが唯一気になるのが、あまりに「アメリカは仲間」だ、中国は敵だ、というスタンスで書かれていることです。
まあ、佐々さんは警察官僚時代から米国の高官とも親交があるからしょうがないと思っていましたが、YouTubeにUpされていた辛坊氏の番組で「ユダヤですよ。やっぱりね、今ひどいことやってるの、ユダヤ人ですよね」と明言しているのを見て、やっぱり佐々氏はよく分かっているのだと認識しました。

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このブログの目次です。
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17-1



彼らが日本を滅ぼす「危機管理・記者会見」のノウハウ―東日本大震災・政変・スキャンダルをいかに乗り越えるか (文春文庫)平時の指揮官有事の指揮官―あなたは部下に見られている (文春文庫)
国家の実力―危機管理能力のない国は滅びる
重大事件に学ぶ「危機管理」わが「軍師」論―後藤田正晴から鳩山由紀夫ブレーンまで (文春文庫)ザ・ハイジャック―日本赤軍とのわが「七年戦争」


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コメント 4

Simple

TBM さん

Nice! ありがとうございます。
ANAの機内放送っていろいろあるんですね。
by Simple (2011-09-03 21:26) 

Simple

ryo1216 さん

Nice! ありがとうございます。
ライトアップされた寺院が美しいですね。
池に写ったライトアップされた木々の美しさは最高ですよね。
松島の円通院の池も素晴らしいですよ。
by Simple (2011-09-03 21:32) 

Simple

mo_co さん

幼稚園のお子さん、大変ですね。
でも、手はかかるけどその頃が一番カワイイですよね。
うちは下の子も高1ですが、180cmくらいデカくなって、ほっぺたにスリスリもできません。(笑)
by Simple (2011-09-03 21:40) 

Simple

tsworking さん

Nice! ありがとうございます。
今の時期、運動をした後の管理が大変ですよね。

by Simple (2011-09-03 21:47) 

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