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大東亜戦争の一番の戦犯はペルリだ! マンガ 最終戦争論 石原莞爾と宮沢賢治 江川達也著 を読む [社会]


マンガ最終戦争論 (PHPコミックス)
「東京大学物語」、「日露戦争物語」などで人気の江川達也氏の本です。

石原莞爾は、山形県出身の陸軍軍人で最終階級は中将です。関東軍の作戦参謀として関東軍による満蒙領有計画を立案し、満州事変の仕掛け人として有名です。そして元中国皇帝である溥儀をかついで満州国を建国し、「王道楽土」、「五族協和」を掲げて最終的には日本、中国からも独立させようと考えていたようです。
石原莞爾は、関東軍は対ソ連との戦いに備えて満州の軍備を強化し、中国本土への戦線拡大には反対していました。1937年の支那事変の時は参謀本部でしたが、強硬派を抑えることができませんでした。そして、当時の関東軍参謀長であった東條英機と対立して最終的には左遷されて予備役に追いやられています。

石原は、東條を「東條上等兵」、「憲兵隊しか使えない女々しいやつ」などとこき下ろし、大東亜戦争に関しては「油が欲しいからとて戦争を始める奴があるか」と開戦には反対していました。そして、東條との確執に対しては「私には些細ながら思想がある。東條という人間には思想はまったくない。だから対立のしようがない」と証言しています。

石原莞爾は熱心な日蓮宗の信者であり、『世界最終戦論』を唱えて東亜連盟構想を提案し、戦後の右翼思想に影響を与えました。ちなみに極真会館の大山倍達館長も東亜連盟で石原莞爾を師事していました。

この本の最初に、戦争犯罪者の候補としてリストに入っていた石原を検察団が訊問するところから始まります。
石原:あなた達は実に運がいい。私が日本軍を指導していたらあなた達が負けていたでしょうね。
検察団:はははははは
石原:ふふ・・・
検察団:戦争犯罪人の中で誰の罪が一番重いと考えますか?
石原:トルーマン
検察団:トルーマン? それは我がアメリカ合衆国の現在の大統領であるトルーマンのことを指して言っているのですか?
石原:そうです。トルーマンが大統領に就任した時・・・ アメリカ軍から日本中にこのビラが撒かれましたね。トルーマン大統領の名前で・・・
検察団:Yes.
石原:ビラの内容を知っていますか?
検察団:Yes.
石原もし日本国民が戦争に協力するなら老人 子供 女 といえどもすべて爆殺する。ですね。
検察団:Yes.
石原:国際法で非戦闘員すなわち将兵以外の民間人は・・・ 爆撃してはならないと規定されています。
検察団:脅しただけです。
石原:いや。ビラに書いてあるとおり実際に行ったでスナ。B29は軍需工場だけでなく一般の人々を爆撃し・・・ 広島 長崎に原爆を落としたでスナ。一国の大統領がビラを撒き野蛮な行為をして反省無しのようでスナ。日本はそんな大統領の国のアメリカと戦争したのが恥ずかしいです。
検察団:あなたは満州事変を指揮しましたね。
石原:満州事変もこの裁判で裁きたいですか?
検察団:Yes.
石原:日本の罪をどこまで遡って裁きたいのですか?
検察団:日清戦争 日露戦争まで遡りたいです。
石原:なぜ?
検察団:満州事変の原因は日本の大陸侵略すなわち日清 日露の戦争にあります。
石原: わかった この戦争の一番の戦争犯罪人はペルリだ。
検察団:我々はこの戦争の元凶は満州事変における日本の大陸侵略にあってその侵略の元凶である日清・日露戦争まで遡って裁きたいと言ったのです。なぜ突然それがペルリ艦隊司令長官がこの戦争の一番の犯罪者として裁かれなくてはいけないという話になるのですか?
石原:我々は徳川幕府の頃鎖国していました。満州だって朝鮮半島だって台湾だって必要ではありませんでした。であったのにアメリカからペルリが黒い船に乗ってやって来て大砲で脅かして門戸解放を迫り、日本を世界の荒波に押し出しペルリ自身が侵略のお手本を示しました。こうなると日本としてもなんとか人として生きて行こうといろいろ考えてアメリカを大先生として日本も泥棒の侵略を覚えたのです。ペルリは日本の侵略の大先生です。
ペルリをあの世から呼んで 戦争犯罪人として裁いたらよいでスナ。

東京裁判では、戦犯の要件として「平和に対する罪・人道に対する罪」という新しい法律が追加され、パール判事はこれは事後法であり、全員無罪を主張したのは有名ですね。
まあ、これは戦勝国の「見せしめ裁判」であることは明白なので、日本人がそれを受けて「A級戦犯」だからと言って犯罪者扱いするのはおかしな話です。東京裁判を裁いた連合国、特に米国は戦後、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン紛争、イラク戦争など次々と戦争をして「平和に対する罪・人道に対する罪」を犯しています。
もし本当に東京裁判が公平な裁判なら、石原莞爾が指摘するように、なぜトルーマンなどの罪を犯した戦争当時のアメリカ大統領はA級戦犯にならないのでしょうね。
これほど「平和に対する罪・人道に対する罪」を犯す国に戦犯として裁かれたというのは情けない話です。

この本は、江川達也氏の歴史観と石原莞爾、宮沢賢治に対する思いが描かれています。氏の歴史観を受け入れられない人にはいろいろと言いたくなる本かも知れません。私も読んでいて、これはちょっと...と思う歴史解釈もいくつか描かれています。でも、私は江川氏のファンなので大きな問題ではありません。

石原莞爾について知りたい人、石原莞爾を軸として大東亜戦争を見たい人、そして江川達也氏のファンにはとてもよい本だと思います。

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mo_co さん

Nice! ありがとうございます。
「ケータイのお探しサービス」の誤差は結構あるんですね。
でも、逆に家のどこにあるか分かるレベルの精度だったら、
逆に監視されているようでイヤですよね。
by Simple (2012-04-01 18:25) 

Simple

TBM さん

Nice! ありがとうございます。
セレッソvs仙台戦、残念でしたね。
申し訳ありませんが、仙台ファンの私としては、首位キープで(^^)です。
by Simple (2012-04-01 18:28) 

Simple

タッチおじさん さん

Nice! ありがとうございます。
F1といえば、僕らの世代はTAGホイヤーですね。
カレラが欲しいです。
by Simple (2012-04-09 23:33) 

Simple

tsworking さん

Nice! ありがとうございます。
本当にウォーキングしていると、車に乗っていると分からないことが見えてきますよね。
by Simple (2012-04-14 20:48) 

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